【決算のみ税理士を使うのはアリ?】決算だけは料金を安く出来る?
決算のみ任せたときのメリットデメリットは何かな?
税理士に決算のみ任せたら、料金は安くなるの?
顧問契約とは違い、何か注意点はあるの?
今回はこの疑問にお答えしていきたいと思います。
【この記事の内容】
●決算のみ税理士に任せた時のメリットデメリットについて
●格安で決算申告を行うデメリットについて
●格安で決算のみを行なった会社の事例紹介
●決算のみが向いている会社の特徴4つ
税理士さんに申告を依頼する時、顧問契約をする会社が多い中、税理士さんに決算のみ頼みたい!と相談される方も増えてきました。
決算のみの付き合いは顧問契約と違い、毎月のサービスを省いたライトな付き合い方です。
今回は決算申告のみ税理士に任せたときのメリットデメリットについて、また注意点を中心にお話ししていきます。
決算のみ税理士に任せるメリットは何か?
税理士の報酬が安くなる!
最大のメリットが税理士さんの報酬を安く抑えられる点です。
税理士に顧問契約を頼めば、月々の顧問料と決算申告料が一緒にかかります。
それは毎年かかるランニングコストのため、「少しでも抑えたい」という会社様が多いのではないでしょうか。
決算料金は月の顧問料の4〜6ヶ月分が相場です。
毎月2万円で税理士に頼めば、8万〜12万ほど決算料がかかるケースになります。
年間にして最大36万ほどかかる計算です。
しかし決算のみ税理士に任せたときの相場は、年商規模やボリュームにもよりますが、年間20万〜25万ほどです。
スタートしてまだ間もない会社様は何かと経費がかかりますので、年間のコスト抑えることができるのは、最大のメリットと言えます。
決算のみ税理士に任せるデメリットは何か?【3つ】
次に決算のみ税理士に任せたときのデメリットです。
デメリットは少し多いので、先にまとめておきます。
①税務調査対応が不十分
②節税対策がない
③借入の相談ができない
それでは順を追ってみていきましょう。
①税務調査が入ったとき対応が十分でない
決算申告は「1年に1回のみ」の付き合い方です。
そのため税務調査が入った時は、顧問契約をしていませんので、御社の内情がわかりません。
こう考える方もいますが、調査対応のクオリティは落ちます。
また顧問契約をして税務調査を頼むより、立会い費用が高額になることがありますので注意が必要です。
さらにスポットで税務調査ができる税理士さんも限られています。
税務調査はいきなり入りますので、急に入ってもいいように、事前に決算のみと一緒に税務調査も対応できる税理士を探さなくてはなりません。
②節税対策ができない
顧問契約の場合は、税務相談や節税アドバイスも入っています。
しかし決算申告のみの場合は「決算処理代行」なので、踏み込んだ相談ができないことがデメリットです。
税理士も会社の中身をしっかり見ていないと、有効な節税対策ができません。
日々の会計の流れを読んで、はじめて対策が打てます。
ここがけっこう大事なところですが、決算のみは、顧問契約より、税理士の中での優先順位は下がります。
安い金額で、税金対策まで見切れないというのが、税理士の本音です。
③借り入れの相談ができない
借り入れをしたいと思った時、決算書はもちろんですが、金融機関は試算表の提出を求めてきます。
会社の状況を毎月把握しなければ、金融機関も安心してお金を貸し出すことができないことがあります。
しかし決算のみ申告を頼んだ場合は、試算表の提出をしてくれません。
借り入れの予定がある
試算表を定期的に出して欲しい
要望がある場合、決算のみでなく、顧問契約にする必要があります。
【注意】格安で決算申告のみ行う税理士はやめておく!
ネットで検索すると【決算申告だけで5万円〜】代行できますとうたう税理士事務所があります。
売り上げの規模感にもよりますが、相場よりかなり格安の決算料金です。
しかし、これは問い合わせしてもらうために格安で入り口を設けているにすぎません。
実際はその報酬では決算申告ができない事の方が多いです。
結果、料金を多く取られたり、様々なオプションをつけて請求されるケースもあることは事実です。
【税理士の変更事例】決算のみ格安で行った建設会社の後悔
税理士紹介をしている中で、
決算申告だけを税理士に格安で任せていましたが、決算書をめちゃめちゃにされた建設会社がありました。
決算申告のみで5万円で請け負っていましたが、全く数字が違うものを出されてしまい、社長は税金額が大幅に上がってしまったことを悔やまれていました。
税理士を切り替えたことで顧問契約することで、きちんと毎月関与することが可能になりました。相場よりも格安で代行する税理士事務所は注意が必要です。
格安で決算申告のみを行う税理士事務所の実態
格安で決算申告を行うという事は人件費を抑えなければ、税理士事務所も元が取れず赤字になってしまいます。
つまりパートや税理士資格のない未経験の人が対応することで、格安で引き受けざるを得ないことになります。
また無資格のニセ税理士が申告代行をすることも考えらます。
ニセ税理士に申告を知らず知らずに頼むことがないよう特に注意が必要です。
税理士のなかで顧問より決算のみは優先順位が下がる
顧問契約は税理士にとっても力が入る契約形態です。
きちんと毎月御社を見ることで緊張感がありますし、税理士も顧問契約の方が契約を切られないように頑張ろうと力が入るからです。
決算申告は1年間に1回のみのシンプルな付き合いですが、税理士事務所の中での優先順位はやはり下がってしまいます。
決算のみができる税理士とできない税理士がいる
決算申告のみは税理士全員が対応しているものではありません。
きちんとお客様と関係を築きたい、お客様とのコミュニケーションをより重要と考えている税理士は決算のみの付き合いはしません。
そのような税理士は顧問契約しか受け付けていないため事前に決算申告だけをできるか確認は必要です。
決算のみ税理士に任せる上での注意点!
丸投げだと記帳代行料が発生する!
領収書と請求書をまとめて決算申告だけ頼むことで、税理士も困ってしまうことがあります。
ある程度会計ソフトに入力して処理をしたものを税理士がチェックして申告するのが決算申告のみの付き合い方では一般的です。
まれに帳簿関係を丸投げして決算だけお任せしますという会社もあります。
依頼内容にもよりますが【記帳代行として毎月やるべき事を決算の時にまとめて頼む】ということなので、当然処理数によって記帳代行料がかかります。
記帳代行料も含まれて決算料を算出するため、費用を抑えたいという会社様はまとまったデータを税理士にお願いすることが大切です。
決算のみ税理士に任せるとメリットが大きい会社の特徴【4つ】
決算申告のデメリットを中心にお伝えしてきましたが、決算のみ税理士に任せると
メリットが高くなる会社の特徴をあげていきます。
①経理や社長がバッチリ会計ソフトに入力している
規模の小さい会社で経理スタッフや社長がきちんと会計ソフトに打ち込みをされている会社は、決算申告のみ税理士に任せた方がいいでしょう。
税理士の仕事のうち6割〜7割が記帳代行作業に時間を取れます。
つまり税理士が作業をしない代わりに、税理士費用を抑えられ、税理士側も時間をかけずに申告ができるため、両者にとってメリットがあるからです。
②スタートして間もない会社
まだ事業を始めてまだ間もない会社は会計がシンプルな事が多いです。
開業スタートした段階では、あまり経理のボリュームもありませんし、それほど節税相談やアドバイスは必要ないと思う方も多いからです。
売り上げが上がってきたら決算申告のみから顧問契約に切り替える会社もあります。
しかしスタートしてからバリバリ売り上げを上げている会社は最初から顧問契約をすることをオススメします。
③売り上げが1000万〜2000万ほどの会社
全盛期に比べて売り上げがかなり下がって、コスト削減したいという会社に向いています。
売り上げ規模にして年商1000万〜2000万ほどの会社は取引内容もシンプルです。
税理士さんに支払う顧問料もなんとか抑えたいと思います。
節税対策もそれほどいらず、税理士さんがある程度チェックして、あとは決算処理だけをして欲しい方にとってはメリットがあります。
④会計がシンプルな会社
会計がシンプルな会社とは、不動産の資産法人や家賃収入のみの不動産の賃貸会社、節税のために設立したペーパーカンパニーなどが当てはまります。
共通して言えることは毎月決まった額の収入で、ある程度決まった額の支出がある会社です。
決算のみ任せることで費用も抑えられますし、会計ソフトに入力していれば、あとは税理士さんの方で手直しして決算申告をしてくれます。
【まとめ】税理士との付き合いは顧問契約だけではない
税理士との付き合いは顧問契約だけが全てではありません。
決算のみ税理士と付き合うことで会社側にもメリットがあります。
注意点を守りながら、柔軟に税理士と付き合うことが大切です。