【損したくない!】月5,000円の安い税理士は本当にお得?
「法人 月5,000円〜、顧問契約を引き受けます!」と書かれたHPをご覧になった経験がありますか?
最近では「格安 税理士」などと検索をすると顧問料金の安さをうたった広告を頻繁に見かけるようになりました。
でも安いのは助かるが、本当に頼んで大丈夫なのか?
そのように不安になりますよね。
いくら安くても仕事の質が悪ければ損になってしまいます。
はたして格安税理士に頼むのはお得なのか、損なのか。
この記事では【格安税理士と契約したら本当にお得なのか?】を解説したいと思います。
ぜひ続きをお読みください。
格安税理士とはどんな税理士?
まず格安税理士とはどんな税理士のことを言うのか?
次です。
格安税理士とは月に1万円未満の税理士
会社の売り上げの大小にもよりますが、一般的な税理士さんの顧問料金は法人は一般的に月3万〜 個人は月1万〜と言われています。
それに対して、法人の顧問料金が5,000円〜1万円未満の税理士を格安税理士といいます。
法人月5,000円〜の顧問料金はこれらに比べると、かなり格安の顧問料といえます。
格安税理士に依頼するのはおすすめしない
結論から申しますと、格安税理士への依頼はおすすめできません。
なぜなら、安いには安いなりの理由があるからです。
確かに費用だけ見ると安くてお得に見えるかもしれませんが、パフォーマンスまで考えると「安物買いの銭失い」になってしまいかねません。
世の中の商品やサービスは何でもそうですが、一見安くてお得に見えても見えない部分の経費を削っているものです。
格安税理士も同じです。
では、格安税理士はどのような部分を削っているのでしょうか?次のセクションで詳しく説明します。
格安税理士はなぜ月5,000円で顧問ができるのか?
それではなぜ格安税理士は月5,000円で顧問契約ができるのか?
その理由は5つあります。
①小規模事業者に限定している
いちばん大きな理由は「年商が300万〜500万以下」の会社に限定しているからです。
格安税理士のホームページを拝見すると、
年商規模が低く、経理がシンプルな会社に限定しているケースが多いようです。
経理がシンプルとは、ほとんど仕訳の数も多くなく、従業員の数も少なく、時間のかからない簡単な会計をしているのです。
つまりスタートしてまだ間もない、個人事業主の形態に近い法人組織がこちらに当てはまると思います。
ある程度、事業が育った年商5,000万、年商1億以上の会社は当てはまらない場合が多いです。
スタート段階を安くして、ある程度売り上げが上がったら、顧問料金もあげてくる場合が多いようです。
②記帳代行を省いている
記帳代行はとても時間のかかる作業です。
そのため税理士事務所も、顧問契約以外に、記帳代行料として多く経費をかけてしまいがちになります。
格安で契約できる背景として、会計ソフトに入力する作業を会社に任せているケースが多いです。
そのため、本業に割く時間が多く忙しい社長さまで、記帳代行も税理士さんに任せたい方は対象にならない場合が多いです。
記帳代行をしなければ格安税理士さんはチェック作業のみに集中できます。
時間を割かないで済み、そのぶん格安で済む可能性が高くなります。
③訪問が全くない
月5,000円ですと訪問ができません。
交通費をかけて訪問すれば、そのぶん経費がかさんでしまうからです。
そのため、訪問1回するごとに5,000円を請求したり、交通費を実費で請求しないと成り立ちません。
「うちは、内容も決まっているし、電話とメールでやりとりしているから訪問が全くなしでも大丈夫だよ」と考えている社長様は良いかもしれません。
しかし会って話さないと分からない。きちんと直接打ち合わせして、アドバイスが欲しい方は、訪問ゼロに不安を覚えます。
大きな設備投資が必要なとき、借り入れのアドバイスを受けたい時などは、やはり直接会っての対話の意味はあると思います。
④積極的な節税のアドバイスを受けられない
税理士と顧問契約を結ぶ大きなメリットとして、節税のやり方を教えて貰える点が挙げられます。
しかし、格安税理士の場合、十分なアドバイスが受けられない可能性があります。
理由としては上記の訪問サービスが受けられない点と、必要最小限のサービスに絞っているためです。
料金が格安ではたくさんの顧客を抱えて数をこなさないと十分な売り上げが上がりません。
よって、1件の顧客にかける時間は最小限にしたいはずです。
したがって、あまり積極的なアドバイスをしようとしない可能性があります。
⑤入り口は安く見せてオプションで請求している
通常、税理士さんの料金は、
月の顧問料金、決算料の申告、年末調整で収まる事務所が多いです。
しかし格安税理士の料金は、
消費税申告、法定調書作成、償却資産税、源泉徴収の作成などその都度、オプションとして請求するケースがあります。
そのため、年間のトータルの報酬額にすると、他の税理士事務所とあまり変わらない、もしくは高くなってしまった話をよく聞きます。
または決算料金が含まれておらず、決算料金を高く設定して全体的な料金で帳尻を合わせている場合もあります。
という社長様は、
1年間にこれだけの報酬しかかかりません。という税理士事務所の方が安心できると思います。
【格安税理士の登場】なぜ安い税理士が出てきたのか?
結論から申しますと、「法律の改正で税理士の料金が自由化されたから」です。
旧税理士法によって平成14年以前に決められていた税理士報酬は、一律に決められていました。
つまり年商ごとに料金を定められており、税理士さんもこれ以上、顧問料を取ってはダメですよというルールがきちんとありました。いわば顧問先を守るためのルールでした。
下の表をご覧ください。
こちらが、平成14年以前に決められていた税理士報酬規定です。
1.所得税
[総所得金額基準] | [年取引金額基準] | 【報酬額】 |
200万円未満 | 2,000万円未満 | 20,000円 |
300万円 〃 | 3,000万円 〃 | 30,000円 |
500万円 〃 | 5,000万円 〃 | 45,000円 |
1,000万円 〃 | 1億円 〃 | 65,000円 |
2,000万円 〃 | 2億円 〃 | 75,000円 |
3,000万円 〃 | 3億円 〃 | 85,000円 |
5,000万円 〃 | 5億円 〃 | 95,000円 |
5,000万円以上 | 5億円以上 | 105,000円 |
1千万円増すごとに | 1億円増すごとに | 5,000円を加算 |
2.法人税
[期首資本金等基準] | [年取引金額基準] | 【報酬額】 |
200万円未満 | 2,000万円未満 | 30,000円 |
300万円 〃 | 3,000万円 〃 | 35,000円 |
500万円 〃 | 5,000万円 〃 | 50,000円 |
1,000万円 〃 | 1億円 〃 | 70,000円 |
3,000万円 〃 | 3億円 〃 | 85,000円 |
5,000万円 〃 | 5億円 〃 | 100,000円 |
1億円 〃 | 10億円 〃 | 130,000円 |
3億円 〃 | 30億円 〃 | 160,000円 |
5億円 〃 | 50億円 〃 | 190,000円 |
5億円以上 | 50億円以上 | 220,000円 |
2億円増すごとに | 20億円増すごとに | 3万円を加算 |
3.住民税及び事業税
事業所1ヶ所につき、所得税又は法人税に定める報酬額の10%相当額
4.消費税、特別地方消費税その他消費税
1税目につき、所得税又は法人税に定める報酬額の50%相当額
(注) 複数の事業所があるときは、事業所ごとに受注1件として取扱う。ただし、消費税については、事業所数にかかわらず受注1件として取扱う。
5.給与等の源泉所得税その他の税目(法第2条第1項に規定する除外税目を除く。)
1税目につき、所得税又は法人税に定める報酬額の30%相当額
(注) 複数の事業所があるときは、事業所ごとに受任1件として取扱う。
ところが平成13年に上記の法律は改正されました。
その改正によって、上の税理士報酬規定は撤廃になり、事務所ごとに自由に料金を決められるようになったのです。
そのため、税理士さん同士で競争が生まれ、価格のダンピングが行われるようになりました。
また最近はAIによって税理士さんの仕事が奪われるとまで話が出てきており、独立した若手の税理士さんを中心にお客様同士のパイの奪い合いが過熱しています。
格安でお客様を獲得していく流れになるのは自然かもしれません。
【税理士事務所の運営】どの経費を削っているのか?
税理士も商売でやっていますので、税理士事務所を赤字経営にはできないですね。
通常、税理士事務所を運営しているときかかるコストは以下と言われています。
【税理士が運営するためにかかるコスト一覧】
・税理士登録免許税、支部に払う年会費
・人件費(一番高額)
・会計ソフト代
・オフィス費用
・車両費用(ガソリン代含む)
・コピー機などのリース代
・交通費
まだまだあげればたくさんあります。
「スーパーでじゃがいも一個買ったらいくら?」とわかりやすい金額であればいいのですが、税理士さんはモノではなく目に見えにくいものをクライアントに売っています。
そのため、運営コストが無視されがちですが、格安の料金で赤字にならないためには、コストを削る必要があります。
そのため、あまり格安で顧問契約をしてしまうと、赤字仕事になってしまい事務所自体も立ち行かなくなる危険性があります。
では、どこを真っ先に削るか?
答えは一番高額な人件費です。
どの業界でも人件費の安い人材といえば経験の浅い新人ですよね。格安税理士事務所もそのような若い新人スタッフばかりを雇っている可能性もあります。
必然的に格安税理士事務所に依頼すると経験の浅い担当者が付く可能性が高くなります。
もちろん、経験が浅いからといって、必ずしも能力が低いわけではありません。
税理士事務所が十分な教育を行っていれば、有能な担当者が付く可能性はあります。
しかし、経験を積んだスタッフに比べたら、新人税理士はリスクが高いと言えるでしょう。
格安税理士に依頼すると、見えないリスクを背負う可能性がある点は認識しておくべきです。
【税理士の契約形態】スポット契約と顧問契約の違い
スポット契約とは、必要な業務だけを頼む単発の契約を言います。例えば「確定申告書の作成」「記帳の代行」「事業承継の相談」などです。
一方で、顧問契約とは一定期間の継続的な契約で、月額で顧問料を払う形式です。
スポット契約は必要な部分だけを頼めるので、顧問契約よりも安いですが、継続的なフォローがしてもらえない欠点があります。
立ち上げたばかりで資金に余裕が無い場合は、格安税理士との顧問契約ではなく一般の税理士とスポット契約を結ぶやり方もあります。
しかし、できれば格安ではない一般の税理士と顧問契約を結ぶのがベストです。
立ち上げたばかりの段階で税理士のアドバイスがもらえるのは非常に心強いので、ぜひ検討しましょう。
【まとめ】税理士へは最適な金額で依頼しましょう
ひとえに月5,000円といっても対象となる条件に当てはまる会社が少なく、リスクもあることがわかったと思います。
また税理士事務所も利益を追求しますので、顧問料を高く支払ってくれる顧問先に力が入りがちになります。
こんなトラブルは十分に考えられます。
そのため、高く税金を納める羽目になってしまい、リスクを背負ってしまっては元も子もありません。
税理士さんのモチベーションが下がらないように税理士さんと会社さまの適切な金額があるはずです。
適切な金額はその税理士さんときちんと話し合い、無理な料金設定ではなく、納得いく形をお互いが確認し、契約の締結に至るのが一番です。
タックスボイスは、格安すぎたり高額すぎたりする値段設定ではなく、品質と金額のバランスの取れた税理士を社長さまにご紹介いたします。
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