【税務調査が入られやすい人】7つ特徴とは?税務調査の実態と対策も解説!
「税務調査」ときくとヒヤッとする人は少なくないはずですよね。
基本的に、決算をしている会社、確定申告をしている事業主にとっては、申告が終わった後、心のどこかに、このヒヤヒヤを引きずっている人は少なくありません。
ではそんな税務調査、一体どれくらいの割合で行われていることなのでしょうか。
実はその割合、それほど多いとは言えないんですね。
税務調査が入る実調率は法人で3%ほどでしかない
国税局の発表によると、税務調査がはいった率である実調率は直近の平成27年調べでなんと法人で3.1%。
個人に関して言えば、なんと1.1%しかありません。
つまり、こういう言い方は正しいのかどうかは難しいところですが、思い切って断言すれば『税務調査にかかる確率はほとんどない』と言っていいでしょう。
これを年割の確率にすれば、法人は32年に1度、個人は90年に1度ですからね。
【税務調査率】
法人 3.1% 個人 1.1% (平成27年調べ)
【税務調査の実態】調査率が下がっているのは本当?
先ごろ終わりを告げた平成最初の年、平成元年には法人の実調率はなんと8.5%もありました。
つまりほとんど10社に1社の割合で税務調査に入られていたということになりますから、この数字は決して小さな数字ではありません。
個人の場合は同じく平成元年で2.3%。
この数値だけを見れば実調率は法人個人ともに平成の時代を経て半分以下に減ったことになるわけです。
平成元年 税務調査率は法人で8.5%もあった!
30年前とはいえ平成元年は、体感的にそんなに昔ではありません。
この頃の記憶と、語り継がれる都市伝説みたいなものが、納税者の事務調査に対するヒヤヒヤにつながっているのかもしれませんね。
なぜ税務調査率が下がっているのか?
これは簡単な話で、申告者が増えて税務署の仕事が追いつかないからですね。
しかも国際化社会になり、くわえて、ネットを使ったフリーランスなども増えたことによって、税の形も大きく様変わりをし、そしてその形態も多様化しています。
結果、多くの申告者の中からターゲットを絞るのが非常に困難になっているんですね。
そう言えば、2016年にパナマ文書の問題もありましたし、悪質な租税回避のテクニックも年々国際化、巧妙化、複雑化しているため税務署の方もかなり困っているわけです。
つまりそれが、実調率が下がった原因になるんですね。
実調率が下がった原因
●フリーランスが急増し、税の形が大きく様変わりした!
●租税回避テクニックが巧妙化した!
それでも税務調査は警戒が必要
「何だ、ほとんど税務調査はこないんだ!」
と、安心してくださった方も多いと思いますが、もちろん過度にヒヤヒヤしなくても大丈夫ですよ、という話なのでそれでもかまいません。
しかし、それは大きな油断を呼ぶものです。
というのも、「入られる」確率は少ないのですが、「入られない」というわけではないからですね。
しかも、税務調査に関して言えば、皆が平等にその確率を持っているのではなく、明らかに『入られやすい事業者』と『入られにくい事業者』に別れるんですね。
つまり、税務調査に入られやすい企業になっていると、その確率は、一般的な確率より高くなるということになるわけです。
税務調査に入られやすい事業者、7つの特徴とは?
ではここで、税務調査に入られやすい事業者を見ていきましょう。
①黒字である
これは、入られやすいと言うよりも、赤字の事業者に入っても追徴がとれないという理由があるんですね。
もちろん赤字の事業者に税務調査が入らないと断言はできませんし、過去その例も確実にあるのですが、少なくとも確率はぐんと下がります。
税務調査に入って精査したところで、課税所得がマイナスなので申告ミスがあっても課税はされませんからね。
税務署的には旨味が少ない、という言い方もできます。
ただし、利益を順調に出していた会社が、突然赤字転落したような場合は注意が必要です。
②儲けが大きい
これは、先程も言ったように税務署は人手不足なので、効率はどうしても重視されます。
事業規模が小さかったり、儲けが少ない事業者を複数見るよりは、そうでないところを一気にという方が当然、効率は良いですからね。
もちろん、少ないからと言ってはいられないということはありません。
しかし、事業規模が小さければ、当然申告ミスがあったとしても大きく課税することはできませんので、これもまた旨味は少ないですね。
③売上が大幅に伸びている
これも確率は高くなります。
というのも、いわゆる悪質な恣意性の高いものと言うよりも、急激に売上が伸びたことでの「ミス」をつきやすいという側面があるからです。
もちろん「なにかうまい方法でも考えついたのでは?」という疑いを持たれるという側面がないわけではないのですが。
④業界平均より利益率が低い
その業界における平均的な利益率よりも低い、それも極端に低い。
こうなると、その事業者には、売上をしっかりと計上していなかったり、過剰に経費をもっていたりという疑惑は当然かかります。
「ある意味周りと足並みが揃っていないと目立つ」という意味でも間違いはありません。
⑤過去に税務調査で不正があった
もうこれは、毎年しっかりと警戒してください。
税務調査の対象期間は3年なので、3年経過後にすぐまた来ることがあると言っても過言ではないくらい、一度不正を見つかった場合は税務署はリピートしてやってきます。
また、印象が悪い場合も同じです。
感覚的に、前回「ギリギリセーフ」だったなぁと思っている人も十分気をつける必要があります。
⑥これまでなかった特殊項目が突然出てきた
これも、悪目立ちするパターンです。
決算書上に、突然退職金や貸倒損失などの項目がでてきて、しかもその額が多額であった場合は、税務署としてはこれをチェックする正当な理由がたちます。
ですので、税務調査の確率は高くなるのです。
⑦その他
他に特殊な事情としては次のとおりです。
まずは『業界自体に不正が多い』バーやクラブなどの飲食や個人サービスなどはかなり印象の悪い業界になっていますので注意が必要です。
また『法人設立後3年が経過した』『法人税の還付請求をした』『無申告』なども、確率を上げる理由にはなります。
税務調査に入られる確率は低いけどしっかりとした対策が必要になる
ご覧のように、税務調査に入られる率はかなり低くなっています。
しかし、だからこそ対策は必要です。
今後も実調率は下がる傾向にある?
今後の実調率はどうなっていくのか。
という予測に関しては、間違いなくこの先も事業者の多様化はとどまるところを知らず、個人事業主も大幅に増加しますから、その率はこれまで以上に下がるというのが大方の予想です。
しかも、グローバル化はどんどんと進み、国境のボーダレス化も進んでいきます。
税制が旧態依然としたまま硬直している上に、税務署員が増えない現状では、これが上がるという予測はほとんど立てられないと言って良いんですね。
【まとめ】税務調査対策は、今後より重要になる
調査率が下がるのに対策が重要になるとはどういうことか。
それは、税務署が効率を求めることで、より『取りやすそうなところ』に税務調査に入るというスタイルを先鋭化させてくる恐れがあるんですね。
つまり「わかりやすいところを選んで入ってくる」「悪目立ちしているところを狙い撃ちで来る」ということ。
もちろんこれは予想でしかないのですが、現状を考えるならば、税務調査の対象となる事業者が『入られやすい』と『入られにくい』に二極化するシナリオは十分考えられます。
そのためにも、やはりここに税理士の存在は欠かせないといえるでしょう。
しっかりと税理士を選んでリスクマネジメント
最後に、この事実を税理士選びにどう反映させるか。
例えば過度に税務調査の危険性を強調する税理士はアウトですとか、逆に100%安全などという税理士は怪しいというのも大きな判断基準になります。
しかし、最も大事なのは、時代の要求の中で、しっかりとしたビジョンで対策を立ててくれる税理士さんであること。
小手先のテクニックではなく、いかに『税務調査に入られにくい事業者』にしてくれるのか、そこにポイントがあると言ってもいいでしょう。
参考 国税庁『税務行政の現状と課題』