税務調査はパソコンの中身や履歴もチェックされる?見せなきゃダメ?
税務調査にくるとなると、なかなか身構えてしまうものです。
なお、調査対象となるのは帳簿書類だけでなく、パソコンも例外ではありません。
でも、いくら税務調査だからといって、日頃から利用しているパソコンの中まで他人にみられるというのは、気分の良いことではないですよね。
プライベートで利用している部分もあるはずなので、恥ずかしい思いをするかもしれません。
では、税務調査はどこまで調べる権利があるものなのでしょうか?
結論をお伝えすると、パソコンの中身や履歴はチェックされる対象ですが、拒否することは原則可能です。
ただし、事業に関することであれば拒否はできないものと考えるべきであり、場合によってはあやしまれるリスクが高くなるため、安易に拒否することはおすすめしません。
▼この記事でわかること
・税務調査はパソコンも調査される?
・パソコン上の調査はどこまでされる?
・パソコンを見られたくないときの対処法
・税務調査でみられやすい内容
・税務調査で不利にならない方法
この記事では、税務調査でパソコンが調査される場合に提示しなくてはいけない内容から、不利にならないための対処法までご紹介します。
税務調査はパソコンも調査される?調査方法2パターン
税務調査には、「強制調査」と「任意調査」の2タイプがあります。
①強制調査とは?
強制調査は、よくドラマなどでもみられる「押し入り調査」のイメージが強いものです。
ガサゴソとダンボールに入った書類まで持ち出してきて調査される、などという状況は、強制調査では起こるかもしれません。
ある日突然、予告なしで税務調査館が訪問し調査を始めるのが強制調査です。
所得の隠ぺいなどの可能性が高いと疑われている場合で、大きな額が関わっているときに強制調査が起こりやすくなります。
②任意調査とは?
一方で任意調査は、あくまで任意で調査に応じるという形をとります。
数日前には税務調査の予告が入り、調査に関して必要のある事項のみ協力をするものです。
任意調査の場合、捜査に応じるかどうかはあくまで任意です。
とはいえもし応じなかった場合には罰則の対象になる、さらにはより強力な国家権力を使って押し入られるだけなので、原則的には応じる必要があります。
今回は主に、任意調査に関してお伝えします。
税務調査はパソコンの中身や履歴も見せなきゃダメ?
事業に関する情報がある場合には、パソコンの中身や履歴を見せなくてはいけないことがほとんどです。
なお税務調査は、「質問検査権」を持つ税務調査官によって行われます。
この質問検査権を行使することによりできることは、主に下記の通りです。
・質問
・帳簿書類の検査
・事業に関する物件の検査
そして納税者は、この質問検査権による要求に正当な理由なく応じないことや、拒否することが、罰則の対象になることが定められています。
つまり、納税者は質問検査権の行使による要求を受けなくてはいけない、とは決められていません。
しかし拒否をすれば罰則の対象になるため、実質的には「質問検査権を受け入れることは義務である」と認識できるでしょう。
ただし、要求を飲まなくてはいけないのはあくまで「業務に関わること」のみです。
調査に必要のない内容や、調査区分をこえるものに関しては、質問検査権が行使できる範囲外であるということです。
言い換えれば、「プライベートの内容なので」という理由で、情報開示を拒否することはできることがある、となります。
税務調査でパソコンチェック!見られやすい内容
税務調査でチェックされやすい内容は、下記のような部分です。
・最近使ったアイテム
・ゴミ箱
・隠しファイル
・ファイルのプロパティ情報
・ブラウザのお気にいり/履歴
なお、焦ってデータを消すのはあやしいです。
数日前に消されたファイルなどの存在が確認されてしまうと、明らかに隠ぺいを疑われます。
税務調査ではパソコンを自由に操作させる必要はない!
実は、税務調査だからといって、パソコンを調査官に渡して自由に操作させる必要はありません。
上記でもお伝えしてきた通り、任意で情報を開示すればいいため、パソコン自体は納税者が操作をしていいです。
納税者がパソコンを操作する横で捜査官が「このファイルを開けてください」などの指示を出し、中身をチェックするというのが原則の流れになります。
もしプライベートの部分があれば「これは事業には関係ないものです」と伝えることで開示する必要はありません。
ただし税務調査の結果は、税務調査官それぞれの判断にゆだねられている部分も大きいです。
調査官も人であることを忘れずに、「自分ならあやしむだろうな」と思うような言動は控えましょう。
税務調査でパソコンを見られたくない!対策とは?
自分で操作していいとは言えど、やはりパソコンの中身をジロジロと見られるのは気分がいいものではないですね。
対策としては、事前に必要な書類をプリントアウトして、用意しておくことです。
なお、パソコンの中身としてデータを渡すと、必要以上の情報を見つけられてしまう可能性が高くなるため、あまりおすすめしません。
必要な書類をしっかりと用意しておけば、「事業に関する資料は全て用意したので、パソコンの中をみせる必要はありません。」と伝えてもあやしまれる可能性は低くなります。
ただし、それで納得してもらえるかどうかは税務調査官の人柄などにもよるため、一概には言い切れません。
なお、メールなどのIT情報に関しては、担当する税理士が提出を拒否することで、強要されなくなるケースもあります。
税務調査では寝室なども調べられるケースがある
税務調査の調査範囲は、パソコンの中身だけではありません。
事業に関係すると判断された場合には、寝室などの調査も求められることがあります。
とはいえ、もし特にあやしい動きがあるわけでもないときに、必要以上の情報開示や調査の許可が求められた場合には、お断りをしてもいいとされています。
「調査に必要はありません」
「求められている書類を提示する必要性がわかりません」
「万が一、情報が漏えいした場合の責任について書面で保証してください」
など、断り方はケースバイケースで存在します。
あくまで丁寧に答えることがポイントで、あやししまれるタイミングで拒否をすれば不利になるかもしれません。
さらに万が一、あやしげなグレー要素が出てきている場合には、事業に関係するとして調査を断れない可能性が高くなります。
税理士を雇っていればプロとして有利に対応してくれますが、そうでない場合には余計なことは言わないよう注意しましょう。
【まとめ】税務調査ではパソコンをみられる!余計なことは言わないのが得策
税務調査では、パソコンの中身も確認されうる対象となります。
かたちとしては、「パソコンには事業に関わることが一切入っておらずプラベート利用なので、見せる必要はありません」と拒否をすることもできますが…現代では考えにくい言い訳ではないでしょうか。
調査官がさらにあやしむようなことは、調査を長引かせたり、深入りされる原因になります。
なるべく余計なことは言わず、あくまで「真面目な納税者」であるという印象をつけることが大切です。
「税務調査で余計なことを言ってしまいそうでこわい」
「見られたくないものについてちゃんと拒否できるか不安」
「弱みにつけこまれそうだから適切な対策を知りたい」
このような人は、税理士を味方につけることで心強くなるはずです。
税理士は税務関係のプロなので、納税者が不利にならないように対応してくれます。
税務調査官は無駄働きにならないよう必死に粗探しをするはずですが、税理士が盾になることで理不尽な要求はつつしむようになるはずです。
タックスボイスでは、納税者それぞれの状況にあう税理士を無料でご紹介しています。
可能であれば日頃から税理士に依頼をすることで、税務調査にならないよう動くのが得策です。
でも、すでに税務調査の予告を受け取った場合にもまだ遅くはありません。
税理士をお探しの方は、お気軽にご相談ください。