税務調査でネット銀行はばれる?通帳がなくても税務署には筒抜けな理由

 

近年、ネット銀行の利用が増えています。

わざわざ銀行に行かなくても、インターネット上で手続きできるのがネット銀行の魅力の1つです。

しかし、通帳がないからといって、申告せずにいると、税務調査で重いペナルティを受けることがあります。

 

この記事でわかること
・税務署に銀行口座が筒抜けな理由
・国税庁による預貯金等照会のオンライン化の概要
・税務調査でネット銀行を通した取引を指摘されないための注意点

 

ネット銀行を事業用として利用しているなら、注意点は必読です。

ぜひ最後までご覧ください!

 

目次

税務調査では通帳のないネット銀行もばれる!

 

税務調査で調査官は、おもに総勘定元帳などの帳簿と領収書や通帳などの帳票書類を確認します。

 

では、通帳がないネット銀行は​、​預金出納帳を作成していなければ、税務署にばれないのかというと、それは間違いです。

 

ネット銀行であっても、他の銀行口座と同様に、税務署に筒抜けになっています。

 

税務署に銀行口座が筒抜けな理由4つ

 

税務署が銀行口座を知る方法はいくつもあります。

それらを組み合わせて調査するので、銀行口座は筒抜けです。

税務署がどうやって銀行口座を把握するのか、4つの方法を紹介します。

 

①金融機関などに情報提供を要請できる

 

税務署は金融機関などに対して、税務調査の目的で情報提供を要請することができます。

 

税務署の職員には、法令で質問検査権が与えられているので、税務調査を目的として納税者の情報を調べる権限があるからです。

質問検査権について、国税庁はホームページで詳しく解説しています。

特に、国税庁が定める質問検査権の及ぶ調査対象は次の範囲です。

 

1-5 法第74条の2から法第74条の6までの各条に規定する「帳簿書類その他の物件」には、国税に関する法令の規定により備付け、記帳又は保存をしなければならないこととされている帳簿書類のほか、各条に規定する国税に関する調査又は法第74条の3に規定する徴収の目的を達成するために必要と認められる帳簿書類その他の物件も含まれることに留意する。

(注) 「帳簿書類その他の物件」には、国外において保存するものも含まれることに留意する。の他の物件」には、国税に関する法令の規定により備付け、記帳又は保存をしなければならないこととされている帳簿書類のほか、各条に規定する国税に関する調査又は法第74条の3に規定する徴収の目的を達成するために必要と認められる帳簿書類その他の物件も含まれることに留意する。

(注) 「帳簿書類その他の物件」には、国外において保存するものも含まれることに留意する。

引用元:国税庁 (質問検査等の対象となる「帳簿書類その他の物件」の範囲)

 

つまり、税務署が帳簿書類の他にも調査が必要であると判断すれば、金融機関の口座や入出金状況などを調べることが可能です。

 

よって、実店舗のないネット銀行でも、国外の口座でも調査対象になり、税務署は情報を得ることができます。

 

②さまざまな申告書から銀行口座を把握している

 

税務署はさまざまな申告書に記載のある多くの情報から、銀行口座を把握しています。

申告書に含まれる情報は、還付金の受け取り口座や証券会社、保険会社など多種多様です。

 

たとえば、証券会社に情報提供を要請すれば、登録口座が確認でき、保険会社を調べれば保険料の引き落とし口座も確認できます。

 

また、税務署が情報提供を要請できる機関は、金融機関に限りません。

 

地方自治体や電力会社、水道局、電話の事業所など幅広い業種に要請し、情報を得ることができます。

 

申告書からは、そのような取引先の情報も記載されているので、税務署はさまざまな情報を分析して銀行口座を把握します。

 

③情報は税務署全体で共有されている

 

税務署では、これまでの税務調査で得た情報を蓄積し、全体で共有しています。

「自分は申告書をまだ提出したことがないから大丈夫」と思うのは危険です。

なぜなら、取引先や関係者の申告書の情報が税務署にあるからです。

税務調査はすべての納税者を対象としています。

 

たとえ調査対象者が今までに税務調査を受けたことがなくても、取引先が受けた税務調査から、税務署はすでに多くの情報を把握している可能性があります。

 

事業を続けるうえで取引先は必ず存在するので、税務調査で情報を隠し通すことはとても困難なのです。

 

④海外の銀行口座も法定調書で確認している

 

税務署は提出された法定調書からも情報を得ています。

法定調書とは、給与の源泉徴収票や不動産売買の支払調書などです。

 

給与の源泉徴収票からは個人の所得や資金の動きが把握でき、不動産の支払調書からは不動産の所有者や譲渡所得が把握できます。

 

また、金融機関の国外送金等調書も重要な手がかりになります。

 

国外送金等調書とは、金融機関を通じて国外へ100万円を超える送金や、国外から100万円を超える受領をしたときに、金融機関が税務署に提出する書類です。

 

法定調書には、住所氏名、国外の送受金した銀行名、送金した目的などが記載されるので、税務署は海外の銀行口座も法定調書から把握しています。

 

【国税庁】金融機関への預貯金等照会をオンライン化

 

税務署がおこなう金融機関への預貯金等の照会方法が、2021年10月からオンライン化されました。

 

オンライン化したことによって、前より簡単に調査ができ、ネット銀行の口座や取引もばれやすくなっています。

 

書面での照会は時間と手間がかかっていた

 

従来、税務調査を目的とした預貯金等の照会及び回答は、書面でおこなわれていました。

書面手続きの流れを簡単に説明します。

 

税務署側
照会文書の作成→決済・押印→封入発送

金融機関
開封→口座の検索・取引明細の確認→回答書の作成→決済・押印→封入発送

税務署側
開封→システム入力、紙の原本保管

 

このように書面による照会は作業負担が大きく、時間もかかるため、税務調査の期間が長引くことが課題となっていました。

 

2021年10月からオンライン化され情報入手が容易に

 

2021年10月からスタートしたのが、照会業務のオンライン化です​。​

預貯金の照会を専用のシステムでおこなうもので、税務署側も金融機関側も書面をあつかうことなく情報をやりとりできるようになりました。

 

これにより、照会業務にかかる日数が大幅に短縮されるうえに、手間がかからないので、税務署は今後より一層情報を入手しやすくなるようです。

 

ただし、むやみに情報をとることはなく、必要に応じて照会がおこなわれます。

無作為に情報を取得しているわけではありません。

 

税務調査でネット銀行を指摘されないための注意点

 

税務調査でネット銀行の存在が発覚すると、場合によってはペナルティがあります。

ネット銀行を指摘されないために、特に次のことは注意しておきましょう。

 

すべての銀行口座を正しく申告する

 

当然のことですが、保有するすべての銀行口座を正しく申告しましょう。

 

万が一、申告していないネット銀行が見つかれば、他にも不正行為をしているのではと申告内容すべてに疑いを持たれかねません。

そうなれば、徹底的に調査されるので、調査期間が長引き、負担が大きくなります。

 

また、調査官の心象が悪いことで、ささいな計算ミスであってもペナルティを受けやすくなることもあります。

 

意図的に隠した銀行口座は税務調査でばれやすい

 

銀行口座を意図的に隠そうとすると、不自然な取引や不明瞭な入出金が発生し、税務調査でばれやすくなります。

 

実際に、銀行口座を隠そうとしても入出金をすれば、記録が必ず残り、記録を隠すためには、不自然な取引をおこなう必要があります。

 

その不自然さを税務署は見逃しません。

不明瞭な入出金があれば、税務署は解明するまで調査を続けます。

また、意図的な隠ぺいには重いペナルティが課されます。

 

税務署の知らないふりは悪質性を確認する手法

 

税務署がネット銀行を把握していても、税務調査では知らないふりをすることがあります。

これは納税者の悪質性を確認するためです。

 

ネット銀行が申告から漏れていた場合、単純に記載ミスなのか、意図的に隠しているのかで、ペナルティの重さが異なります。

 

税務署はネット銀行の存在を知っていても、あえて納税者に質問し、その回答によって納税者が嘘をついているかどうかを判断し、ペナルティの重さを決定します。

 

税務調査の対応は税理士に相談する

 

税務調査の対応は、税理士に相談することがベストです。

 

調査官とのやり取りや帳簿書類の準備の仕方は、プロの視点で対応するほうが税務調査に有効だからです。

 

万が一、ネット銀行が申告できていなかった場合にも、税理士に相談してください。

 

この場合は、故意ではないということを税務署に納得してもらう必要があります。

意図的に隠そうとしていないことを、どのように伝えるべきかのアドバイスをもらいましょう。

 

【まとめ】税務署には通帳のないネット銀行も筒抜け!正しく申告納税をしよう

 

税務署はさまざまな調査方法によって情報を入手することができるので、隠しているネット銀行の口座や取引は筒抜けです。

 

もし意図的に隠していないにしろ、調査官を説得できるだけの立場や知識がなければ、納得してもらいづらいのが現実でしょう。

 


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この記事を書いた人

株式会社トライパートナーズ 代表取締役 山崎友也

当サイト「タックスボイス」運営者です。

相談実績1,000件以上。

税理士紹介のコーディネーターをしています。
日々電車に揺られ西に東に奔走しています。

税理士さんについて知らない社長さまも多く、考え方のギャップを
埋めたい!と思いブログサイトを立ち上げました。

IT、建設業、美容室、飲食店、eBay、せどり、不動産業、エンジニアなど。

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