【マイクロ法人の違法性】個人事業主との二刀流によるリスクは?
節税のため、マイクロ法人を作りたいと考えている個人事業主は珍しくありません。
しかし、「違法である」と言われることがあるのですが、本当でしょうか?
結論としては、個人事業主がマイクロ法人を設立するのは違法ではありません。
ただし、どんなマイクロ法人でも設立して良いというわけではないです。
▼この記事でわかること
・マイクロ法人が違法ではないケース
・禁止されているマイクロ法人設立ケース
・マイクロ法人設立前におさえたいポイント
この記事では、マイクロ法人の設立を視野に入れている人が合法的に設立できるよう、ポイントを解説していきます。
なお、マイクロ法人の設立を個人でする場合には税務署に目をつけられやすいです。
税理士をつけずにマイクロ法人を設立するなら安直に実行するのではなく、慎重に準備をしましょう。
そもそもマイクロ法人とは何?
「マイクロ法人」とは、1人社長が株主と取締役をになう小さな会社のことです。
またの名を「プライベートカンパーニー」とも呼ばれており、1人あるいは身内だけで会社を運営しています。
従業員などを雇わずに最低限の環境で、1人でできる事業をしていることが多い「マイクロ法人」は、事業を拡大するというよりも節税目的に設立されることがほとんどです。
▼マイクロ法人を設立する理由
・所得税が節税できる
・社会的な信頼を得られる
・消費税の免税事業者になれる
・社会保険料を減らせる
上記の通り、マイクロ法人の設立は主に税金面でメリットが大きいです。
ただし税務署は「節税」を嫌うため、あくまで必要のある法人設立でなくてはいけません。
マイクロ法人は違法?→状況によります
マイクロ法人の設立が違法ではないとはいえ、条件があります。
①ペーパーカンパニーではない
②個人の事業と違う事業である
③節税以外の目的を税務署に説明できる
上記3つのポイントは、マイクロ法人設立において必ずおさえなくては危険な点です。
ひとつでも当てはまらない場合、税務署から脱税としてペナルティを受ける可能性が上がります。
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
マイクロ法人が違法ではないケース①:ペーパーカンパニーではない
事業活動のない、いわゆる「ペーパーカンパーニー」である場合には、脱税目的とみなされ「違法」になります。
マイクロ法人が違法と間違われる理由は、事業活動の実態のないペーパーカンパニーがマイクロ法人として設立をしているからです。
作っただけで何もしていない法人だとみなされた場合、法人の収入を個人の収入とみなされる可能性も。
この場合、所得税や住民税、消費税などの個人事業主に支払い義務がある税金に対し、追徴税が課せられることがあります。
マイクロ法人が違法ではないケース②:個人の事業と違う事業である
マイクロ法人と個人事業主の事業内容が同じというのは、非常に不自然です。
同じ事業をしているのなら、法人を作る必要はないとみなされても不思議ではありません。
つまり、「節税目的で事業の収入を分けているだけ」という状況は許されない、ということです。
「ひとつの事業を無理やり2つに分けているのではないか」と疑われるものは、違法性があると考えられます。
収入を分けているだけだと判断されてしまえば、違法になります。
あくまで「事業として」分ける必要性がなくては、マイクロ法人として成立しません。
マイクロ法人が違法ではないケース③:節税以外の目的を説明できる
「あえて法人を作る理由があったのか」と税務署に質問されたときに、きちんと答えられなくてはいけません。
例えば、飲食業と不動産業のように、運営母体を分ける必要があると説明しても、全く不自然ではありません。
あえて法人を作ることが合理的なのか、わかりやすく説明できるよう準備しておきましょう。
マイクロ法人は違法ではない!デメリットは?
条件に基づいて設立さえすれば、マイクロ法人はメリットが大きいです。
では、デメリットはあるでしょうか?
①経理業務が複雑化する
②法人設立に費用がかかる
③法人名義の銀行が作りにくい
それぞれ解説します。
マイクロ法人のデメリット①:経理業務が複雑化する
マイクロ法人は小さいとはいえ「法人」なので、個人事業主よりも経理業務が複雑になります。
決算書の作成や法人事情概況説明書などの書類を用意し、決算や確定申告をしなくてはいけません。
もちろん、個人事業主としての会計業務とは別で行う必要があるため、会計業務の負担は倍以上になると考えましょう。
多くの個人事業主が法人成りのタイミングで顧問税理士を経費で雇い、事業に集中するきっかけとしています。
法人成り代行から節税対策、税務処理など、必要な範囲で顧問税理士をつけ依頼していくのが良いです。
マイクロ法人のデメリット②:法人設立に費用がかかる
法人設立には初期費用がかかります。
株式会社なら25万円前後、合同会社なら6万円前後がかかると思っておきましょう。
さらに法人住民税は、毎年赤字黒字にかかわらず、最低7万円の支払いが必要です。
法人になれば税理士を雇うことになると考えるのが自然なので、税理士への依頼費用もかかります。
節税目的でマイクロ法人を設立するなら、法人設立によるコストと比較しておく必要があるでしょう。
マイクロ法人のデメリット③:法人名義の銀行が作りにくい
法人名義の銀行口座を持っていると、個人と法人の資産をはっきりと分けておけるため会計業務が楽になります。
さらに、実態がある会社であることを世間に知ってもらえるため、社会的な信頼度も上がります。
しかし、法人名義の銀行口座を開設するためには、自宅やバーチャルオフィス以外の実在するオフィスが必要になることがほとんどです。
法人口座を開設したい場合には、ネットバンクなどで口座を作った後に、実績と共に再度審査に申し込む流れになることがあります。
【まとめ】マイクロ法人は違法ではない!条件はおさえておこう
この記事では、マイクロ法人は違法ではない理由と、違法にならないための条件をご紹介しました。
マイクロ法人の特徴をまとめると、下記のようになります。
〜マイクロ法人の特徴〜
・1人社長が株主と取締役をする会社
・事業内容は個人が1人でできるもの
・事業拡大よりも節税目的であることが多い
・実態のある法人として成立している
マイクロ法人は上手に設立できれば、高い節税効果が期待できます。
ただし、やみくもに法人を作るだけでは脱税を疑われ、罰金になってしまう可能性も。
本気で節税を考えているなら、まず税理士に相談するのが先決です。
自己判断で節税対策をしていると損をすることが多いだけでなく、税務署からの調査が入りやすくなります。
マイクロ法人を設立を検討しているなら一度、税理士に税務状況を確認してもらうのが安全です。
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