【起業】株式会社と合同会社はどちらがメリットがある?
起業を考えたとき、法人化することで多くのメリットが得ることができます。
個人事業主としてやっていくよりも、法人のほうが信用力があるため、より積極的にビジネスを展開していきやすくなります。
また、税金面でも大きな利点があります。
個人事業主として「事業所得」を申告する場合より、法人として「給与所得」としたほうが余分に税金を支払う必要がありません。
経費をいろいろ算入しやすくなるため、個人事業主として活動するよりも自腹を切らなければいけない場面が少なくなります。
【法人化のメリット】
●信用があり、積極的なビジネス展開が可能!
●経費面でいろいろ参入しやすくなる!
いざ法人化しようと思ったとき、株式会社とするか、合同会社とするか、を選択する必要が出てきます。(合資会社は今回の記事では省きます)
それらはもちろん異なる存在なので呼称が異なるわけであり、メリット・デメリットもそれぞれ異なります。
以下では、株式会社と合同会社の設立について簡単にご紹介していきますので、今後の設立をお考えであれば参考としてください。
株式会社と合同会社それぞれのメリット・デメリット
まず株式会社のメリットを挙げるならば、認知度が高く、対外的な信用が得られやすい点が第一のメリットといえます。
大衆に認知されているビジネスの主体だけに、個人事業主や合同会社に比べてビジネスがやりやすくなります。
【株式会社のメリット】
●認知度が高い
●信用が得られやすい
デメリットとして挙げられるのは、合同会社に比べて過大評価されがちな点といえるかもしれません。
所有と経営が分離しているため、資金調達の幅が広いとネット上で紹介されているのを多く目にしますが、中小企業の場合、それらはあまり関係ありません。
【所有者】と【経営者】が同一であることがほとんどであるためです。
最低1円の資本金からでも設立できる株式会社はある程度の規模にでもならない限り、株式発行によって第3者から資金調達などできないのが実際のところです。
加えて、株式会社は「有限責任」であり、出資の範囲内のみの責任となると紹介されていますが、こちらも実務とはかけ離れた知識です。
株式会社が倒産したとしても、株主が追加で出資しなければいけないということはありません、とされていますが、それはあくまで外部の出資者に他ならず、中小企業には当てはまりません。
株主=代表取締役であることがほとんどであり、借入れを起こす場合、代表取締役が法人の連帯保証人となる以上、出資した金額以上のリスクを負うのは明白です。
また、事業によって誰かに損害を与えたような場合、法人と経営陣を相手に訴訟が提起されるのが常であるため、重度のコンプライアンス違反が生じたときには、出資者の負う責任範囲は無限となります。
【株式会社のデメリット】
株式会社は所有者と経営者が一致していることが多い。
合同会社と比べると、過大評価されがち!
一方、合同会社のメリットとしては、株式会社と比べて、設立費用やランニングコストが安く上がるという点が長所として挙げられます。
【合同会社のメリット】
●株式会社に比べて設立費用が安い!
●ランニングコストが安い!
他所では所有と経営が分離しておらず、出資者である社員が業務を行うことから意思決定が迅速であり、スピード感あるビジネスの展開が可能となると紹介されているのも目にしますが、これは実体と比べて、過大評価し過ぎといえます。
あくまで規模の大きな合同会社の場合のみ当てはまる利点です。
具体的に規模の大きい合同会社としては、
●合同会社西友
●アマゾンジャパン合同会社
●Apple Japan合同会社
●ソフトバンクグループジャパン合同会社
●グーグル合同会社
●ユニバーサルミュージック合同会社
が挙げられます。
これらは意思決定のスピードと、株式会社であるがゆえの所有上のリスク回避を狙い、あえて合同会社の体を取っています。
合同会社のデメリットとして挙げられるのは、株式会社に比べて名称が浸透していない点です。
取引先の新規開拓や、求人募集などの際に、デメリットを感じるかもしれません。
上でご紹介した規模の大きな合同会社は、社名が浸透しているからこそ、合同会社としてのデメリットも生じません。
【合同会社のデメリット】
株式会社に比べて名前が知られておらず、新規開拓や
求人募集の面でデメリットがある!
株式会社と合同会社の申請の仕方や手間を比較!
株式会社を設立する場合には、会社の設立を発起し、設立に出資をする発起人を決定し、資本金を用意して、定款に定める内容として、会社の基本事項を決定します。
その後、会社の実印を作成し、定款の作成と認証の手続きを行います。
定款は公証役場で認証してもらい、定款の謄本を取得します。
以降、資本金を払い込み、法務局で登記手続きを済ませることで株式会社が誕生します。
【株式会社設立】手順の流れ | |
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1 発起人の決定 | 会社設立の中心人物の決定。1株以上の出資が必要。 |
2 基本事項の決定 | 会社の目的・社名・事業内容・本店所在地・資本金額・役員構成・決算月など会社の基本事項を決定します |
3 印鑑の作成 | 会社の代表印の作成(銀行印や各印も作成するとなおよし) |
4 定款の作成・認証 | 定款は会社のルールブックです。
事業目的 以上が定款に記載するべき内容です。 |
5 資本金の払い込み | 資本金は1円でもOKですが、信用面でもある程度の金額は必要です。消費税の観点から1,000万以下にすることをおすすめします。 |
6 設立登記の申請 | 法務局で登記手続きをします |
合同会社を設立するのは株式会社よりも手続きが簡単であり、株式会社と違って公証役場での認証は必要ありません。
認証のための手間や費用が省ける認証の手間が省ける分、公的な機関のチェックが入らないため、設立に際して提出する書類の不備や修正で作り直しになったりしないよう、注意して書類作成を行わなければなりません。
株式会社にしても、合同会社にしても、設立には諸々の手続きが要されるため、まったく知識のない状態から始めるとかなりの手間と時間がかかってしまいます。
起業のタイミングは他にやらなくてはならないことも多いため、司法書士や行政書士に会社設立手続きを依頼するのが主流となっています。
ただし、自分でできないわけでもないので、「手間がかかっても司法書士や行政書士に支払う手数料数万円を浮かせたい」「自分の会社なので自分で設立手続きをしたい」といった場合にはチャレンジしてみるのもいいでしょう。
株式会社と合同会社の設立についてかかる費用を比較!
設立にかかる費用は、合同会社の方が株式会社設立よりもずっと安く済みます。
上でもご紹介したよう、合同会社の定款は公証役場で認証を受ける必要がないので、株式会社の場合に必要となる定款認証費用の5万円がかかりません。
また、登記手続き時に法務局へ支払う登録免許税も、株式会社が15万円であるのに対して、合同会社は6万円で済みます。
【合同会社が株式会社より安い点】
○定款認証費用がかからない(株式会社は5万円)
○登録免許税が6万円で済む(株式会社は15万円)
設立手続きを司法書士や行政書士に依頼した場合の手数料は、合同会社でも株式会社でもさほど変わりません。
しかし、合同会社の場合には手続きが簡単なので、自分で設立しやすいことから、その手数料も浮かせやすいといえるでしょう。
会社のスタート段階は労力がかかる為、税理士を顧問につけましょう!
これまで株式会社と合同会社の設立についてご紹介してきましたが、これらは会社という存在を誕生させるまでの手続きに過ぎません。
設立してからも、税務署に「法人設立届出書」や「青色申告の承認申請書を提出」、都道府県税事務所、市町村役場にも「法人設立届出書」を提出しなければなりません。
加えて、日本年金機構へ「新規適用届」や「被保険者資格取得書」などを提出し、従業員を雇い入れる場合には雇用保険や労働保険の手続きが必要となります。
仮にこれらを怠れば、しばらくして監督署より提出を催促されますので、避けて通ることはできません。
しかし、起業する以上、本当にやらなければならないのは、上記の手続きに時間や手間をかけることではありません。
事業を成長させるために、まずは売上を伸ばすことが第一となります。
だからこそ、諸手続きがいつでもスムーズに済ませられるよう、税理士を顧問につけておくといいでしょう。
保険関係の手続きは窓口でも丁寧に教えてもらえますし、いくらかわかりやすいのですが、税務関係書類は難解であり、教えてもらうだけでスムーズに書けるものでもありません。
税理士がそばにいてくれれば、そのようなわずらわしさから解放されますので、起業家はしっかり前を向いてやるべきことができるようになります。