【倒産防止共済が800万になったら?】経営セーフティ共済の掛け金事情
取引先が倒産するなどの万が一の事態に備えて加入できる「倒産防止共済(経営セーフティ共済)」は、「無担保」「保証人不要」でお金が借りられる便利な共済です。
年間で最大240万円を上限として掛金を全額損金算入できるという点から、節税対策として用いられることもあります。
うまく使えば、年間で数百万円ほどの節税効果が期待できるため、導入を検討する企業が数多くあります。
▼この記事はこんな人におすすめ!
・倒産防止共済の手厚い内容に魅力を感じている人
・節税対策として倒産防止共済を視野に入れている人
・解約手当金の受け取り時にかかる課税額をおさえたい人
・倒産防止共済の導入前に注意点を確認しておきたい人
ただし、倒産防止共済では掛金総額の上限を800万円としており、到達した時点で自動的にストップになります。
満期を迎えたことにより、解約の場合は掛金を満額受け取ることができますが、解約手当金は雑収入になり、全額課税対象となる点が注意です。
シミュレーションをしないと、最終的にかかる税額負担は大きくなってしまいます。
この記事では、倒産防止共済で積立金が800万円になった場合にすべきことや、上手な節税対策について詳しく解説します。
【倒産防止共済とは?】取引先に不測の事態があった場合の保険
「倒産防止共済(経営セーフティ共済)」とは、取引先の倒産などが原因で連鎖的な不測の事態い陥らないように加入できる共済です。
1年以上事業を継続している「中小企業者」であれば、加入することができます。
掛金は月に5,000円〜20万円の間で自由に設定することができ、月々の積立金は経費として計上できるため、節税効果が見込めます。
倒産防止共済の特徴を簡単にまとめておきます。
▼倒産防止共済の特徴
・掛金は毎月20万円(年間240万円)が上限
・解約返戻金は解約理由によって変わる
・最大8,000万円の借入ができる
・40ヶ月(3年4ヶ月)以上納めた場合は掛金全額が戻る
・解約手当金は全額課税対象
40ヶ月(3年4ヶ月)以上積立をすれば掛金が満額返ってくるため、損をすることはありません。
つまり、保険金を払うことなく、保険の対象になることができるということです。
そして万が一、取引先が倒産し運転資金が不足してしまった場合、「無担保・保証人なし」で借入できるのが、倒産防止共済の最大の魅力といえます。
より詳しく知りたい方はこちらの記事をご参考ください。
倒産防止共済の掛金総額が800万円になったらどうなる?
掛金の上限は800万円となっています。
掛金が800万円に到達した時点で口座引き落としは自動的に停止されます。
満期・満額のお知らせとして「掛金積立て限度のお知らせ」が届くので受け取りましょう。
解約手当金請求をすれば、800万円を受け取ることができます。
解約後は倒産防止共済に再度加入することもできるので、節税効果を継続して見込むことも可能です。
【倒産防止共済の注意点とは?】3点あります
倒産防止共済を利用する場合の注意点をご紹介します。
①40ヶ月以上は積立しないと損
②貸付金の10%が掛金から引かれる
③掛金は課税対象になる
それぞれについて、詳しく解説します。
倒産防止共済の注意点①:40ヶ月以上は積立しないと損
倒産防止共済はいつでも解約することができます。
しかし、解約手当金を満額受け取れるのは、40ヶ月以上の積立をした場合に限られます。
掛金の納付月ごとに受け取れる解約手当金の割合は、下記のとおりです。
・1ヶ月〜11ヶ月:0%
・12ヶ月〜23ヶ月:80%
・24ヶ月〜29ヶ月:85%
・30ヶ月〜35ヶ月:90%
・36ヶ月〜39ヶ月:95%
・40ヶ月以上:100%
つまり、12ヶ月未満で解約をした場合、いくら積立をしていたとしても受け取れる解約手当金は0円となり、損することになります。
掛金が満額返ってくるのは40ヶ月以上の納付をしていた場合に限ります。
なんとしてでも12ヶ月以上、できれば40ヶ月以上は積立をし続けるようにしましょう。
なお、当月であっても積立金の設定を変更することは可能です。
もし支払いが難しいと思ったら、月々の最低支払額である5,000円に設定をし直して、解約手当金が受け取れるように調整しましょう。
倒産防止共済の注意点②:貸付金の10%が掛金から引かれる
取引先が倒産し、運転資金が足りなくなってしまった場合、「共済金」を借り入れることが可能です。
借入限度額は、下記のうち少ない方が適応されます。
・被害額
・掛金総額の10倍
倒産防止共済では最大で800万円を積み立てることができるため、借入金の最大額は800万円の10倍にあたる8,000万円となります。
ただし、掛金からは貸付金の10%にあたる金額が引かれてしまう点は注意しましょう。
例えば、500万円を借入た場合には、積み立てた掛金から50万円を引かれてしまうということ。
倒産防止共済の貸付自体は無利子と言われていますが、実際には貸付のためにお金がかかっているのと同様です。
なお、取引先が夜逃げをした場合には貸し付けできません。
倒産防止共済の注意点③:掛金は課税対象になる
毎月納付した金額が経費として計上できる点だけみると、節税効果が高いように感じるはず。
しかし解約手当金は「雑収入」として、全額課税対象となります。
つまり、解約手当金をそのまま受け取ってしまうと、最終的に税金の負担が大きくなり節税効果はなくなります。
分割で受け取ることができないため、倒産防止共済に入っていなかった場合よりも税額が増えることがあるので注意しましょう。
倒産防止共済に加入するなら「出口戦略」が重要
解約手当金の課税を防ぎたいなら、受け取る際に事前にほどこす「出口戦略」がとても重要です。
対策をしないで解約手当金を受け取ってしまうと、事業年度の利益は大幅に増え、税率が上がってしまいます。
解約手当金の課税を防ぐための解決方法は、同等の「経費」をあてることです。
とはいえ、巨額の設備を購入したところで減価償却の対象となってしまうため、大きな効果は見込めません。
この場合に活用をおすすめするのが、「従業員退職金」あるいは「役員退職金」を活用した相殺です。
掛金とのバランスをみてベストな金額をシュミレーションする必要はありますが、数百万円の節税も見込めます。
倒産防止共済を上手に活用するためには、専門的な知識が必要になります。
具体的に対策をしていきたいという方は、税理士に状況から相談するのがおすすめです。
【まとめ】倒産防止共済の解約手当金には節税対策を施さないと損!
倒産防止共済に加入しておけば、取引先が万が一にも不測の事態に陥った場合にも強い味方となってくれるでしょう。
しかし、ただ加入をし毎年の課税額をおさえて満足していると、積立金が満額の800万円になったときや解約時に解約手付金を受け取ったタイミングで、ボンと大きな税金負担を求められます。
倒産防止共済は、事前に対策さえしておけば節税対策としてもうまく活用できる共済です。
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「うちの場合、倒産防止共済の解約手当金はどう受け取るのがベスト?」
「倒産防止共済に入ろうか迷っているけど、他にもっと良い選択肢はある?」
「倒産防止共済では毎月いくら積み立てをすると損がない?」
このようなご相談へお答えできる税理士のご紹介が可能です。
倒産防止共済を活用した節税対策をほどこしたいという方は、お気軽にご相談ください。