【資本金は一時的にあればいい?】会社設立時の資金調達のポイント
会社を設立する際に、直面する課題の1つとして、資本金の準備があります。
資本金は大きければ大きいほうがいいと考え、借入金を一時的に資本金にしてしまうと、違法になるので注意が必要です。
この記事でわかること
・会社設立時の資本金を調達する方法
・創業時に利用しやすい融資制度
資本金や運転資金の準備を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。
資本金を一時的に借入金でまかなうのは違法!
会社を設立する際には、会社運営資金の元となる資本金を調達する必要があります。
資本金とするお金を準備できなかったために、資本金を大きく見せる目的で、一時的に借入金でまかなうことは違法行為です。
資本金の基礎と違法行為について確認しましょう。
資本金とは
資本金とは、会社設立や増資の際に出資者から払い込まれたお金のことです。
設立時には資本金が運転資金となります。
資本金は決算書のうち、貸借対照表の純資産の部に表示される項目です。
純資産の部は資産から負債を差し引いた部分なので、資本金が多ければ会社の財務力に余力があると判断でき、融資などで有利に働きます。
また、資本金には次の3つの特徴があるので、理解しておきましょう。
①資本金に下限はなく、1円でも株式会社を設立できる
②会社の社会的信用度に関わる重要な指針であり、一般的に資本金が多いほど会社の信用力を得られやすい傾向がある
③会社の業務すべてに利用することができ、返す必要がない
借入金を資本金にする見せ金は違法
会社設立時に、資本金を大きくみせるために、借入金を資本金にすることを見せ金といいます。
見せ金は会社法上、違法であり、刑事罰を受ける場合もあります。
本来は資金がないのに、一時的にあるかのように見せかけて、会社が利益を受けることは詐欺行為にあたるからです。
見せ金が発覚する経緯の1つは、金融機関の融資判断のタイミングです。
金融機関が融資実行を検討する際に、会社や出資者の通帳を確認する手続きをおこないます。
お金の流れを確認するなかで、見せ金は容易に発見されます。
見せ金を使って融資を受けることは違法です。
発覚した時点で融資を拒否されるので、見せ金は絶対にやめましょう。
会社設立時の資本金を調達する方法
会社を設立する際に、資本金を借入金以外で調達する方法はおもに次の3つです。
①株主に出資してもらう
②自分で貯金する
③クラウドファンディングを利用する
①株主に出資してもらう
株式会社においては、株主に出資してもらう方法が一般的です。
出資した株主には会社の株式を発行し、集まった出資金を返済する必要はありません。
ただし、株式の保有率には注意が必要です。
会社は社長のものではなく株主のものなので、株式を多く保有すると議決権も多く持つことができます。
つまり、社長よりも株主のほうが多く株式を保有すると、会社の決定権が社長ではなく、株主にわたってしまうおそれがあります。
会社の主導権を守るために、株式全体の3分の2以上か、少なくても50%以上は社長が保有しましょう。
②自分で貯金する
資本金作りとして、自分で貯金して資金を確保するという方法が、最も理想的です。
個人の資産で資本金を調達できるのであれば、株主に経営権を握られる心配がありません。
また資本金の使い方を社長本人が自由に決めることができるのも、メリットの1つです。
また、資本金は会社設立後も増やすことができるので、最初は自分で用意することができる資金の範囲で会社を始めて、事業が軌道に乗れば資本金を増やし、さらに事業を拡大していくという方法もあります。
③クラウドファンディングを利用する
資本金の調達に、クラウドファンディングを利用することもできます。
クラウドファンディングとは、インターネットを介して不特定多数の支援者から資金を調達する方法です。
クラウドファンディングにはいくつか種類がありますが、返済の必要がないものや物やサービスをリターンするものがあります。
そのようにして集めた資金は、資本金として使うことが可能です。
また、宣伝効果も期待できるので、魅力的な事業内容であれば、資金調達と集客を同時におこなうことができるでしょう。
会社設立時には日本政策金融公庫が利用しやすい
少額の資本金からでも会社を設立できますが、その後の設備投資や運転資金のために融資が必要な場合があります。
しかし新規創業では、まだ会社としての実体がないことから、銀行などの民間金融機関では融資をなかなか受けられません。
一方、公的金融機関では、創業者向けの融資制度が準備されています。
特に、日本政策金融公庫は、おもに起業や独立を目指す起業家を手助けする目的で、財務省所管の特殊法人として設立されたため、中小企業や新規起業家に対して手厚い融資制度があります。
次に紹介するのは、創業時に使える日本政策金融公庫のおもな3つの融資制度です。
①新規開業資金
②女性や若者/シニア起業家支援資金
③新創業融資制度
①新規開業資金
新規開業資金とは、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方が、創業時や事業開始後に必要となる設備資金や運転資金の調達として利用できる融資制度です。
融資金額は最高7,200万円で、そのうち4,800万円を運転資金として利用できます。残りの2,200万円は設備資金であるため、運転資金としては使えません。
返済期間は、運転資金が7年以内、設備資金が20年以内です。
また、融資を受けるためには、原則として担保や保証人の設定が必要になります。
②女性、若者/シニア起業家支援資金
女性、若者/シニア起業家支援資金とは、女性の方や35歳未満か55歳以上の方で、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方が利用できる融資制度です。
融資内容は新規開業資金と同じですが、性別や年齢をクリアできれば、通常よりも有利な条件で借りることができます。
融資金額は最高7,200万円で、そのうちの運転資金と設備資金は新規開業資金と同じです。
また返済期間は、運転資金が7年以内、設備資金が20年以内です。
女性、若者/シニア起業家支援資金も、融資を受けるためには、原則として担保や保証人の設定が必要になります。
③新創業融資制度
新創業融資制度とは、新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方が、創業時や事業開始後に必要となる設備資金や運転資金の調達として利用できる融資制度です。
融資金額は最高3,000万円で、そのうち1,500万円を運転資金として利用できます。残りの1,500万円は設備資金であるため、運転資金としては使えません。
新創業融資制度の最大の特徴は、担保や保証人が不要であることです。
なお、新創業融資制度には自己資金の要件があり、原則創業資金総額の10分の1以上の自己資金を用意する必要があります。
【まとめ】借入金を資本金にするのは違法!
会社を設立する際に、資本金を大きく見せたいからといって、借入金を資本金にあてるのは違法です。
出資や自己資金など返済の必要がない資金調達方法を利用しましょう。
また、創業当初の資金調達には、起業家向けの日本政策金融公庫の融資制度を検討してみてください。
しかし、資金調達には事業計画が必要であることが多く、説得力のある計画書は専門的な知識も必要です。
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