「生活費を経費で落とす」はアリ?個人事業主の経費の境い目と按分
個人事業主になりたてのとき、「経費を計上すると節税になる」と聞き、経費の大切さを知る日がくるものです。
そこで疑問にあがるのが、どこまで経費にしていいのかという点。
では、生活費を経費で落とすのって、アリでしょうか?
結論としては、原則ナシです。
でも「業務をする上で必要な部分」があれば、アリになることもあります。
▼この記事でわかること
・経費で落とせる生活費の範囲とは
・経費にできるものの判断基準
・食費を経費にする場合のポイント
・税務署のおとがめなく節税する方法
問題は、どこまで経費として計上して問題がないのかの判断基準です。
そこで今回は、生活費を経費で落としたいと考える経営者が、経費にしてもいいと判断できる場合の判断基準について、詳しく解説していきます。
生活費を経費で落とすのはアリ?→原則ナシです
結論としては、個人事業主が生活費を経費で落とすのは、ナシです。
事業に関係ない個人的な生活費であれば、それは経費にはなりません。
とはいえ個人事業主であれば、「仕事」と「生活」どちらにも利用する費用があるはずです。
このような費用は「家事関連費」として、仕事に必要だとわかる範囲内であれば経費計上していいものとされています。
このような「仕事」と「生活」どちらに利用されている経費かを判別するためには「家事按分(かじあんぶん)」の方法を理解しておくのが良いです。
生活費を経費で落とす「家事按分」とは?
たとえば仕事を自宅でしている場合、自宅は生活にも必要ですが、事業にも必要になる場所です。
この場合、事業と生活それぞれに必要なぶんを割り出すことを「家事按分(かじあんぶん)」と言います。
家事按分の対象として多いのは、主に下記のような費用です。
・家賃
・水道代
・電気代
・通信量
・ガソリン代
あくまで仕事で使っているぶんだけを計上していいことになっているため、全額を経費にすることはできません。
【経費】家事按分の割合はどう計算する?
家事按分の割合を計算する方法は、状況によって異なります。
利用時間、利用範囲、利用日数など…基準となるものはさまざまです。
利用時間で家事按分するケース
たとえば、ワンルームの自宅でパソコン仕事をしている個人事業主が家賃を家事按分する場合には、利用時間を基準にすることがあります。
仕事をしている時間が1日のうち6時間の場合、1日24時間のうちの1/4を仕事に利用しているため、家賃の1/4を経費として計上するのが一般的です。
ただし、多くの人が休日もとっているはずなので、実際には休日もふくめて家事按分をしなくてはいけないでしょう。
利用範囲で家事按分するケース
たとえば、3LDKの部屋を賃貸しており、そのうちの1部屋を事業専用の部屋にしている場合には、事業専用の部屋の家賃分だけを経費計上できます。
この場合には、賃貸している部屋全体の面積と、事業専用の部屋ぶんの面積の割合をもとに、家賃を家事按分します。
ただし、事業専用の部屋と言いつつプライベートの物置としても利用していたり、子供の遊び場を作っている場合には、すべてを計上するわけにはいきません。
税務調査が入る場合にはアウトになるので、事業用とプライベートの空間は必ずハッキリとわけるようにしましょう。
利用日数で家事按分するケース
たとえば、事業用とプライベート用の車をわけていない場合には、仕事としての利用日数ぶんだけを家事按分して計算することもできます。
ただし厳密にいうと、1日のなかでも仕事と生活の両方に車を利用することもあるはずなので、状況によって家事按分の方法は変わると思っておきましょう。
経費で落とせる生活費とは?事務所で必要な費用の例
一見すると生活費に見えても、事務所で利用しているものなら堂々と経費にして問題ありません。
たとえば、下記のような雑貨は事務所にないといけないものなので、経費として計上が可能です。
・ペン
・電卓
・トイレットペーパー
・タオル
・石鹸
たとえばペンなどの文房具は、事務所にないと業務にならないものとして、経費計上が可能です。
また、トイレットペーパーなどの日用用品も、「事務所にないと仕事にならないもの」と考えられるため、経費計上して問題ありません。
もちろん、事業に必要なものが経費として落とせるだけです。
家で利用するトイレットペーパーまで経費にできるわけではありません。
誰でもできる節税対策について詳しくは、別記事でもご紹介しました。
領収書で経費計上すれば、生活費もバレない?
たとえばスーパーで購入した食材は、領収書を発行することで詳細がわからなくなることがあります。
スーパーにはペンなどの文房具も売っているので、詳細がのっていない領収書を発行しておけば、生活費を経費計上してもバレないと考える人もいるようです。
答えとしては、裏取り調査をされたら簡単にバレてしまいます。
たまにスーパーの領収書が入っているだけであれば、あやしまれないかもしれません。
でも、毎日のようにスーパーの領収書が経費になっていたらさすがに、調査官でなくとも「生活に必要な食材などを買っているだけではないか」とあやしむのが自然だと思います。
極論としては、税務調査が入るまではバレずに計上できるでしょう。
万が一税務調査が入った場合には、大きなペナルティの対象になる可能性が高いです。
食費などの生活費も経費で落とせるケースはある
とはいえ、食費などの生活費も経費にできるケースはあります。
たとえば飲食店を経営している人なら、市場調査としてスーパーのお弁当を食べるケースがないとは言い切れません。
ほかにも、ブロガーが商品レビューのためだけに、コンビニスイーツを購入するケースはあるでしょう。
実は、正直グレーゾーンの費用でも、やり方によっては経費にしてしまうという経営者は珍しくないです。
あくまでグレーゾーンであることは自覚して、万が一税務調査が行われる場合を想定しながら、実行した方がいいかもしれません。
税理士などのプロが味方についていないときに独自判断で強気の計上をするのは、やはり危険度が高いです。
【まとめ】生活費を経費で落とすことが可能なケースもある
生活費を経費で落とすことは、場合によっては可能です。
ただし「業務に関係している費用であること」というルールは原則、例外がありません。
あまりに見境なくポンポン経費にまわしていると、いつか税務調査が訪れたときに後悔する結果になる可能性も。
とはいえ税理士が経理を担当していれば、少し強気で経費を計上できる傾向があります。
税務関係のプロが確認した上で経費として計上することで、税務署としても確認をする必要がないと判断しやすいからです。
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