レシートと領収書の違いは?役割と記載内容をくわしく解説!

商品を購入したときやサービスを利用したとき、経費精算のためにもらう必要があるのは、レシートなのか領収書なのか迷ってしまうことがあります。

そもそも、レシートと領収書はなにが違うのか、この記事ではその違いをくわしく解説します。

この記事でわかること
・レシートと領収書の違い
・レシートと領収書の記載内容
・レシートと領収書の役割
・レシートと領収書のポイント

経費精算をするうえで、レシートと領収書ではどちらが有効なのかお困りの経営者や経理担当の方、個人事業主の方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

レシートと領収書の違いは記載内容

レシートと領収書は、どちらも商品購入やサービス利用の代金を支払ったときに発行されるものです。

つまり、レシートも領収書も、「支払いが済んでいることの証明書」なので、大枠では同じものと考えてよいでしょう。

しかし、記載内容の違いによって、一般的にはレシートと領収書を区別しているようです。

次に、それぞれの記載内容を紹介します。

レシートの記載内容

一般的なレシートの記載内容は、おもに次のような内容です。

・発行日
・購入した商品の商品名と金額
・合計金額
・消費税率と消費税額
・発行者の住所と氏名

次に紹介する領収書の記載内容から、違いを確認してみましょう。

領収書の記載内容

一般的な領収書には、おもに以下のような内容が記載されます。

・発行日
・宛名
・合計金額
・消費税率と消費税額
・ただし書き
・発行者の住所と氏名

このように、レシートと領収書の記載内容では、宛名があるかどうかが違いを区別するポイントです。

レシートと領収書の役割

レシートと領収書の役割を確認しましょう。

経理上の役割と消費税法上の取り扱いを解説するので参考にしてください。

経理上はレシートと領収書どちらでもOK

経理上はレシートと領収書、どちらでも経費精算をすることができます。

法人税を計算するうえで認められる経費は、次の3つの要件をすべて満たすものです。

①事業年度末までに債務(契約)が成立していること
②事業年度末までに商品受取やサービス利用をしていること
③事業年度末までに領収書等で金額を確認できること

<a href=”https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/02/02_02_02.htm”>国税庁 販売費及び一般管理費等</a>

つまり以下の3つがわかれば、レシートでも領収書でも経費として計上できるということです。

・いつ
・何のために
・誰に支払った金額

ただし、税務調査では手書きの領収書よりも印字されたレシートのほうが信憑性が高いケースがあります。

手書きの領収書によくある「上様」という宛名や「お品代」などのただし書きは、架空経費計上のために改ざんされている可能性を否定できないからです。

このように、経費精算はレシートでも領収書でも有効ですが、その内容を説明できるように、レシートや領収書にメモを残すなど準備をしておきましょう。

なお、経費精算について会社の規程がある場合は、その規程に従ってください。

消費税法上は記載内容に要件アリ|インボイス

消費税法上はレシートなど記載内容に要件があります。

消費税における仕入税額控除の適用を受けるためには、定められた内容が記載された帳簿および請求書等を保存しなければなりません。

なお、消費税法ではレシートや領収書は請求書等と表現されます。

帳簿および請求書等の記載内容の要件は次のとおりです。

①誰に支払った:請求書等発行事業者の氏名または名称
②誰に支払った:①がインボイス発行事業者の場合はインボイス登録番号
③いつ:取引年月日
④何を:取引内容
⑤いくら:取引金額
⑥いくら:適用税率と消費税額
⑦誰が支払った:書類の交付を受ける事業者の氏名または名称(宛名)

なお、例外として次のような不特定かつ多数の者に対する業種から発行される請求書等には、上記⑦の宛名がない場合でも認められます。

・小売業
・飲食店業
・写真業
・旅行業
・タクシー業
・駐車場業

<a href=”https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6497.htm“>国税庁 仕入税額控除のために保存する帳簿および請求書等の記載事項</a>

このように、記載内容の要件を満たす書類であれば、レシートでも領収書でも有効になります。

(参考)経理と消費税における考え方の違い

経理と消費税における経費の考え方の違いは、税金の計算方法の違いから生まれるものです。

経理では日々の取引から法人税を計算します。

法人税の計算方法は、収入(益金)から経費(損金)を差し引いた利益(所得)に税率をかけて税額を算出します。

つまり、法人税における経費のポイントは、支払った金額が事業活動と関連した費用で、経費としての一定の要件を満たしていることです。

支払った金額が経費として認められれば、利益を減らすことができるので、結果的に法人税も減らすことができます。

一方、消費税は売上時の消費税(売上税額)から仕入れや経費などで支払った消費税を差し引いて計算します。

この仕組みが仕入税額控除です。

つまり、支払った金額に消費税が含まれていれば、レシートなどの記載内容について要件を満たすことで仕入税額控除が適用され、納める消費税を減らすことができます。

このように、税金の計算方法は異なっており、税法の要件を満たすために、レシートや領収書の役割や取り扱いに違いが生まれるのです。

レシートと領収書のポイント

レシートと領収書が経理上や消費税法上で、有効になるポイントは次の3つです。

特に、3つ目の保存期間はレシートなどの記載内容が経費として認められるための重要なルールなので、必ずチェックしておきましょう。

①両方発行されないのは重複防止
②代金支払済みを証明できる書類は他にもある
③保存期間は7年間

①両方発行されないのは重複防止

レシートと領収書は原則両方発行されません。

経費の二重計上につながるので、証拠書類が重複するのを防止するためです。

レシート発行後に領収書が発行される場合、一般的にはレシートに「領収書発行済」というスタンプが押されたり、同じレシート番号を領収書にも記載したり、同じ取引が重複しないように工夫されます。

経費の二重計上は脱税となり不正行為です。

レシートと領収書の二重発行は有印私文書偽造罪に問われる可能性があるため、十分に注意しましょう。

②代金支払済みを証明できる書類は他にもある

代金を支払ったことを証明できる書類は、レシートや領収書の他にも次のようなものがあります。

・受取書
・領収証
・預り証
・お買い上げ票
・「代済」「相済」「了」などと記載された請求書や納品書

<a href=”https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7105.htm”>国税庁 金銭又は有価証券の受取書、領収書</a>

つまり、代金の受取者がその事実を証明するために、支払者に交付した書類であれば、レシートや領収書に限らず証明書類になるということです。

反対に、領収書であっても記載内容が不十分であれば、経費の証明にはなりません。

よって、レシートなどの書類に記載されている内容はよく確認しておきましょう。

③保存期間は原則7年間

レシートや領収書は取引を証明する書類として扱われるので、一定期間の保存が義務づけられています。

法人の場合、確定申告書の提出期限(決算日から2か月後)の翌日から原則7年間が保存期間です。

ただし、青色繰越欠損金が生じた事業年度は10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)となります。

個人の保存期間は、青色申告提出者であれば確定申告書の提出期限の翌日から7年間、白色申告であれば5年間です。

保存期間はレシート発行日からの期間ではなく、確定申告書の提出期限から起算することに注意しましょう。

【まとめ】記載内容に注意すればどちらでもOK!

経費にするために必要な記載内容が書かれていれば、レシートでも領収書でもどちらでも有効です。

ただし、手書きよりは印字されたもののほうが信憑性が高いことを知っておきましょう。

また、インボイス制度ではレシートなどの記載内容を細かく規定しているので、要件に当てはまっているかを判定する知識が必要になります。

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ぜひご相談ください。

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この記事を書いた人

株式会社トライパートナーズ 代表取締役 山崎友也

当サイト「タックスボイス」運営者です。

相談実績1,000件以上。

税理士紹介のコーディネーターをしています。
日々電車に揺られ西に東に奔走しています。

税理士さんについて知らない社長さまも多く、考え方のギャップを
埋めたい!と思いブログサイトを立ち上げました。

IT、建設業、美容室、飲食店、eBay、せどり、不動産業、エンジニアなど。

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