個人事業主の家計簿つけ方|生活費は分ける?失敗しない家計管理術
個人事業主は事業とプライベート両方のお金を管理しなくてはなりません。
よって、会社員とは違ったポイントで家計管理をおこなうことがお金で失敗しないコツです。
〜この記事でわかること〜
・個人事業主の失敗しない家計管理術
・個人事業主の家計簿のつけ方
生活費をどのように家計簿で管理すればよいのかお困りの個人事業主の方は、ぜひ最後までご覧ください。
個人事業主の失敗しない家計管理術
日々のお金の動きを記録管理するためのツールは、一般的にプライベート用を家計簿、事業用を帳簿といい、家計簿や帳簿に正しく記録することでお金の管理がしやすくなります。
家計管理(資金管理)をするメリットは、収入と支出のバランスを見える化できることです。
事業では、このメリットをいかして利益を計算し、ビジネスの継続と発展に役立てます。
一方、家計管理でも収支バランスを意識することで、無駄遣いを減らしたり、将来に備えた資産作りを進めたりすることができます。
このような家計管理のメリットを十分にいかすために、記録が作業にならないよう、次のようなポイントをおさえて上手に家計簿をつけましょう。
①家計収支を把握して「生活費がない」を防ぐ
②生活費と事業経費は分ける
③家計簿をつけやすい工夫をする
④毎月の予算を決める
⑤定期的に見直す
家計収支を把握して「生活費がない」を防ぐ
家計簿をつけることで、収入と支出が整理され、何にいくら使っているのかを数字で確認することができます。
すると、生活費の中にある無意識の無駄遣いに気づき改善できるので、生活費がなくなる事態を防ぐことに繋がります。
特に、固定費と変動費という視点で支出を整理してみましょう。
固定費とは、毎月決まって必要な支払いのことで、家賃や水道光熱費、通信費などです。
対して、変動費とは、月によって支払いにバラつきのある支出のことで、食費や日用品、レジャー費、交際費などがあげられます。
生活費と事業経費は分ける
個人事業主の家計管理では、生活費と事業経費を明確にわけましょう。
なぜなら、生活費と事業経費が正しく線引きされているかどうかは、税務署が特に力を入れて調査する項目だからです。
事業の所得税は収入から経費を差し引いた利益に税率をかけて計算されます。
よって、経費が多ければその分税金が少なくなるため、税務署は不正な経費が計上されていないかどうかを必ずチェックするのです。
たとえば、交際費として計上した経費が、実際は友人や家族との食事会であったりすると、事業には関係のない生活費が経費に計上されているとしてペナルティが課されるうえに、悪質だと判断されれば脱税の摘発対象になるおそれがあります。
家計簿をつけやすい工夫をする
家計簿が続かない理由の多くが、時間や手間がかかってルーティン化できないことです。
そのため、あらかじめ家計簿をつけやすい工夫をしましょう。
たとえば、次のような工夫を試してみてください。
・家計簿アプリを使う
・自分の作業リズムを作る
(毎日でなくても週1回決まった曜日にまとめておこなうなど)
・未処理が一目でわかるようにしておく
(処理できたものから整理しておくと混ざらない)
特に、家計簿アプリは無料で使いやすいものがいくつか公開されています。
レシートを写真に取ったり、銀行やクレジットカードと連携したりすることで、アプリが自動で費目分けしてくれるので、作業の時間と手間を大幅にカットできます。
毎月の予算を決める
家計簿で毎月の収支のバランスが整理できれば、次のステップとして毎月の予算を決めましょう。
そこで、おすすめなのが先取り貯金です。
また、収入から貯金を差し引いた金額が生活費です。
そこから、まずは固定費の予算を決め、残りを変動費にあてるように管理すると失敗しにくくなります。
つまり、予算は①貯金、②生活費の固定費、③生活費の変動費の順番で決めてみましょう。
定期的に見直す
家計を整理して管理することができたら、定期的に見直しましょう。
見直すポイントは、収支のバランスと予算の達成度です。
収支のバランスは月ごとやライフスタイルの変化によってかわります。
イベントが重なり出費が多い月や、新しく始めた趣味の出費などを把握して、収支のバランスが保たれているかチェックしましょう。
また、決めた予算がどの程度達成できているかを見直すことも重要です。
予算が達成できていれば、モチベーションも維持できます。
しかし、予算が達成できていなければ、どこかで無駄遣いしたのか、それとも予算の決め方が間違っていたのかなど、さまざまな視点から見直して、改善点を次の月でいかしましょう。
個人事業主の家計簿のつけ方
個人事業主の家計簿のつけ方には、いくつかのポイントがあります。
個人事業主と会社員におけるお金の管理で異なる点は、事業用帳簿の有無と税金・社会保険料の処理方法です。
会社員には当たり前ですが、事業用帳簿はありません。
また税金や社会保険料は基本的に給与から天引きされるので、改めて自分で払うことがなく、家計簿で管理する以外に必要がありません。
一方、個人事業主は家計簿と事業用帳簿どちらも管理する必要があり、税金や社会保険料も自分で支払うため、お金を税金用に置いておかなければ納付できなくなります。
この違いに着目して、個人事業主が家計簿をつけるときに注意すべきポイントを5つ解説します。
特に、最初のポイントが重要なので、必ず確認してください。
①家計簿か事業用帳簿どちらかに書く
②費用項目をシンプルにする
③食費や衣服費などプライベートな支出は家計簿
④税金・国民健康保険などは事業用帳簿でもOK
⑤家事関連費に注意!
【重要】家計簿か事業用帳簿どちらかに書く
1つの支出については、家計簿か事業用帳簿のどちらかに書きましょう。
プライベートな支出であれば家計簿に、事業経費であれば事業用帳簿に記録します。
プライベートの書類と事業用の書類は必ず別で管理し、記録するときも同時にはおこなわないなど、混ざらないように工夫しましょう。
事業用経費にプライベートな支出が混ざるとペナルティ対象になり、反対にプライベートに事業用経費が混ざると、事業の利益が正しく計算できず税金を多く払い過ぎてしまいます。
プライベートと事業をわけないのは、損しかありません。
費用項目をシンプルにする
家計簿で管理する費用項目はシンプルにしましょう。
費用項目とは、出費の内容や使いみちで分類した名称のことで、食費や交際費などをさします。
事業用帳簿では勘定科目といい、使う勘定科目はあらかじめ決められています。
しかし、家計簿は自分で管理するためのツールなので、自分がわかりやすいような費用項目を使うことがポイントです。
たとえば、衣食住でざっくりと被服消耗品費、食費、住居関連費とまずはわけてから整理してみましょう。
ここから、どの出費について詳しく知りたいかを考えます。
食費や衣服費などプライベートな支出は家計簿
食費や衣服費などのプライベートな支出は家計簿に記録しましょう。
食費や衣服費はプライベートでも事業でも発生する出費です。
よって、線引きは明確にすることがポイントです。
ここで、事業に計上できる経費についておさらいしておきましょう。
事業所得の必要経費に計上できる金額は次の要件に該当する支出です。
・総収入金額に対する売上原価、その他の収入金額を得るために直接必要になった費用
・その年に生じた販売費、一般管理費、その他事業で必要な費用
つまり、事業の必要経費に該当しない出費は経費に計上できないため、家計簿に記録しましょう。
税金・国民健康保険などは事業用帳簿でもOK
所得税・国民健康保険などの公的保険は事業経費にできませんが、事業用帳簿に記録しても差し支えありません。
所得税も公的保険も確定申告で必要になるので、同じく確定申告に必要な帳簿にまとめて記録しておくほうが便利な場合があるからです。
しかし、勘定科目は「事業主貸」を使って経費に含めないようにしましょう。
ただし、個人事業税や消費税、事業用車両の自動車税など経費にできる税金もあります。
家事関連費に注意!
プライベートな支出の一部が事業の経費として認められる、いわゆる家事関連費に注意しましょう。
個人事業主は1つの支出がプライベートと事業の両方に関わる場合があり、このような費用を家事関連費といいます。
これら家事関連費のうち必要経費にできるのは、取引の記録など根拠資料にもとづいて、事業に直接必要な部分が明らかに区分できる金額に限られます。
自宅兼事務所であれば間取り図などを根拠資料にして、どれぐらいの割合で事業用に使用しているのかを合理的に計算することで、自宅家賃の一部を事業の経費にすることができます。
【まとめ】失敗しないコツは生活費を分けること!
個人事業主が家計管理を失敗しないコツは、生活費と事業経費を分けることです。
事業経費に計上できる経費を理解して、プライベートと事業を正しく線引きしましょう。
「家計管理と個人事業の資金管理にアドバイスがほしい」
「事業経費の判定が難しいのでサポートしてほしい」
家計管理にお悩みの個人事業主の方は、ぜひタックスボイスへご相談ください。
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個人事業主の資金管理は負担が大きいので、専門家のサポートがあれば安心です。
ぜひご相談ください。