帳簿の付け方【初心者フリーランス向け】青色申告は手書きでできる?
青色申告の記帳は、白色申告の記帳に比べて難しいってよく言われるけど、手書きではできないのかな?
青色申告の記帳が難しいと言われている理由は、正規の簿記(一般的には複式簿記)で記帳する必要があるからと言われています。
一方で白色申告の場合は「簡易記帳」で良いとされています。
〜この記事でわかること〜
・青色申告を手書きでするメリット
・青色申告を手書きでするデメリット
・青色申告をすべき理由
結論としては、青色申告でも手書きで記帳することは可能です!
ただし、かなり手間がかかると思っておきましょう。
この記事では、青色申告を手書きでしたいと思っている人に向けて、なぜ青色申告が難しいと言われているかを分かりやすく解説します。ぜひご参考ください。
【青色申告3パターンと必要な簿記方法!】必要な帳簿の種類も解説
「青色申告」と言っても、控除額は3パターンに分かれています。
また、控除額によって必要とされる記帳の方法も違います。
▼必要な記帳方法
・65万円控除:複式簿記
・55万円控除:複式簿記
・10万円控除:単式簿記
「複式簿記」での記帳が必要な65万円控除と55万円控除の場合は、「主要簿」と「補助簿」両方の作成が必要になります。
一方で「単式簿記」の記帳が必要な10万円控除の場合は、「補助簿」の作成だけで良いとされています。
「主要簿」と「補助簿」それぞれで必要な帳簿と内容は、下記の通りです。
▼主要簿
65万円・55万円控除 | 内容 |
・仕訳帳 | 全ての取引を発生した順番に記帳します。
複式簿記では左側が「借方」右側が「貸方」として、取引の原因と結果を記録することで、財産の増減を記録します。 |
・総勘定元帳 | 仕訳をした勘定科目ごとに取引を記録します。
所得計算に必要な売上・資産・経費・負債を確認に利用します。 確定申告時に提出する損益計算書や貸借対照表のもととなる帳簿です。 |
確定申告時に必要な提出書類 | ・確定申告書B
・青色申告決算書(損益計算書、貸借対照表) |
▼補助簿
65万円・55万円・10万円控除 | 内容 |
・現金出納帳 | 現金で支払いを行ったときに必要な帳簿です。
現金取引の用途を記録したり、現金残高の把握をします。 |
・売掛帳 | 「掛(つけ)」による販売を記帳します。
いくらの商品を販売し、いくらの代金を回収したのかを管理し、販売代金の回収漏れを防ぎます。 |
・買掛帳 | 「掛(つけ)」による購入を記帳します。
未払金として処理することで、代金の支払い漏れを防ぎ、取引相手からの信用を守ります。 |
・経費帳 | 売上原価を含まない経費を記帳します。
主に消耗品を経費として購入したとき、いくらの何をいつどこで購入したかを記載します。 |
・固定資産台帳 | 10万円以上で使用期間が1年以上となる「減価償却資産」を管理する帳簿です。パソコンや車、建物などが該当します。 |
確定申告時に必要な提出書類 | ・確定申告書B
・青色申告決算書(損益計算書) |
確定申告に必要な書類とは?
記帳は義務付けられていますが、帳簿を提出する必要はありません。
ただし、【帳簿類は7年、領収書は5年】保存しなくてはいけない義務があります。
65万円と55万円の控除をする場合、確定申告の際に提出が必要な書類は合計3点です。
帳簿をもとにして作成した「損益計算書」と「貸借対照表」の2点と、「確定申告書B」をあわせて提出しましょう。
損益計算書↓
貸借対照表↓
確定申告書B↓
10万円控除の場合は、「損益計算書」と「確定申告書B」の2点だけとなります。
貸借対照表はいりません。
なお、提出義務がない場合にも、万が一税務署から求められた際に出せないと、ペナルティの対象となります。
出来るだけ作成し、保存するようにしましょう。
青色申告を手書きで行う2つのメリットとは?
では、青色申告を手書きでする場合のメリットを見ていきましょう。
①費用がかからない
②簿記の知識が身に付く
それぞれ詳しく解説します。
青色申告を手書きするメリット①:費用がかからない
手書きで行う場合、会計ソフトなど、有料サービスを使う必要がないためほとんど費用がかかりません。
専用のノートにしっかり記帳していれば、万が一税務署からの調査が入ったときにも問題はありません。
エクセルに手作業で入力する方法と比べても、パソコンが得意である必要がなく、アナログな方法を好む人に向いています。
記帳をプロである税理士に依頼する費用が出せない場合にも、ノートの購入額なら出せるはずです。
青色申告を手書きするメリット②:簿記の知識が身に付く
青色申告の場合、白色申告の「簡易記帳」とは違い、正規の記帳方法に従わなくてはいけません。
簿記について勉強したことがない人なら、ゼロからお金の管理方法が学べる良い機会になるでしょう。
簿記の知識は記帳以外にはあまり出番はないですが、お金の管理方法を頭に入れておいて損はないです。
青色申告を手書きでする3つのデメリットとは?
つづいて、青色申告を手書きでするデメリットについてもご紹介します。
①時間と手間がかかる
②一度ミスがあるとやり直しが大変
③データの保存場所に困る
それぞれ詳しくお伝えします。
青色申告を手書きするデメリット①:時間と手間がかかる
青色申告を手書きでする何よりのデメリットは、時間と手間がかかることです。
上記でもご紹介した通り、青色申告をする場合には最低でも7つの帳簿を作成する必要があります。
それぞれの帳簿を一つひとつ記帳するのは非常に面倒で、お金が動くたびに記帳しなくてはいけないのはストレスにつながるでしょう。
青色申告を手書きするデメリット②:一度ミスがあるとやり直しが大変
手書きで記帳する場合、自分で電卓をたたいて計算をし、ミスをしないように記帳しなくてはいけません。
そもそもミスに気づけない可能性も高く、記帳し続けた後に最終確認でミスに気づいたときには、絶望的でしょう。
ミスがあった場合、そのミスにさかのぼって、ひとつひとつ手作業で書き直す必要があります。
青色申告を手書きするデメリット③:データの保存場所に困る
記帳を手作業でした場合、毎年少なくとも7冊以上の帳簿が出来上がります。
さらに領収書や確定申告書、青色申告決算書などをまとめて7年間保存しなくてはいけないため、データの保存に物理的な場所を取ります。
デジタル化された帳簿とは違い、必要な情報を見つけ出すのも手作業です。
青色申告の付け方がわからない!税理士に依頼も◎
ここまで確認して、「やっぱり青色申告は難しそうだし、白色申告にしちゃおうかな」と思った人も多いはず。
「一般的に青色申告が良いと言われているから」というだけの理由で青色申告をしようとしていると、心が折れてしまうかもしれません。
とはいえ平成26年1月以降は、白色申告者も記帳が義務付けられたため、青色申告の10万円控除枠とほとんど同じだけ手間がかかります。
どうせ手間がかかるなら、控除額が大きい青色申告に挑戦するのが賢い選択でしょう。
「青色申告で65万円控除を受けたいけど、やっぱり記帳は面倒だな」
「毎年自分で記帳していくのはつらい、どうしたらいいんだろう」
「記帳する時間や手間も経費にして節税につなげたい」
このような人は、税理士に税務関係を丸投げしてしまうのがおすすめです。
記帳にかかる手間をはぶき、経費として計上することができます。
記帳に時間とコストをかけるより、プロの税理士に依頼して効率よく節税対策をしてしまいましょう。
税理士探しにお困りの方はぜひタックスボイスにご相談ください!