【複式簿記と簡易簿記の違い】複式簿記の難易度はどれくらい?
個人事業主が確定申告をするとき、選ぶのが「白色申告」と「青色申告」です。
白色申告と青色申告では帳簿の付け方や必要な書類が異なり、青色申告の方が難易度は高いとされています。
より具体的な理由としては、青色申告では「複式簿記」が必要であることに対し、白色申告ではより簡易的な「簡易簿記」で良いとされているからです。
では、複式簿記とはそれほどまでに、簡易簿記よりも難しいのでしょうか?
結論、複式簿記はそもそも専門知識を持っていない人には作れないものなので、難易度は高いです。
今まで簿記を学習し得意としている人なら作成できるかもしれませんが、複式簿記の対応を専門としている税理士がいるほどに難しいものだと思ってください。
この記事では、複式簿記と簡易簿記の違いや難易度を、確定申告をしたことのない初心者さんにもわかりやすいよう解説します。
白色申告(簡易簿記)と青色申告(複式簿記)の違いとは?
確定申告が必要な個人事業主にとって、「白色申告」と「青色申告」どちらで申告をすべきか悩みタイミングがあると思います。
白色申告と青色申告の大きな違いは、帳簿の付け方にあると言っても過言ではありません。
・白色申告:単式簿記(簡易な簿記)
・青色申告:複式簿記(正規の簿記)
文字通り、「白色申告」に必要なのは「単式簿記」や「簡易簿記」と呼ばれる、簡単な帳簿です。
一方で「青色申告」に必要なのは、本格的な正規の簿記知識が必要な「複式簿記」となります。
白色申告の簡単な簿記と比べ、より複雑な青色申告の複式簿記をする場合には、その対価として節税面で優遇があります。
複式簿記で提出をする場合には最大で65万円の控除があるというのは、青色申告優遇の有名な例です。
青色申告の10万円控除は簡易簿記でOK
「青色申告=複式簿記」というイメージは間違ってはいないのですが、厳密にいうと青色申告でも簡易簿記で良いケースがあります。
青色申告は大きく分けると3つの控除枠で分かれており、下記の通りです。
・10万円控除:簡易簿記でOK
・55万円控除:複式簿記が必要
・65万円控除:複式簿記 と e-Taxが必要
難易度が上がるほどに控除額が増える、というイメージですね!
上記の通り、青色申告でも10万円の控除だけをうけるときには、簡易簿記での提出が認められています。
白色申告と青色申告10万円控除の違いとは?
そこで、「青色申告の10万円控除と白色申告をする場合は同じということ?」と疑問に思う人もいるはずです。
結論としては、青色申告10万円控除のほうが白色申告よりも難易度は高いです。
青色申告の10万円控除では確かに、簡易簿記の用意で問題はありません。
しかし、確定申告書に添付する「決算書」の様式が白色申告時のものとは異なるため、白色申告と比べると難易度が上がります。
▼確定申告時に必要な決算書
・白色申告:収支内訳書(2ページ)
・青色申告:青色申告決算書(4ページ)
青色申告時に必要な「青色申告決算書」では、白色申告で必要な収支内訳書と比べて詳細な作りになっており、ページ数が倍に増えます。
さらに青色申告の場合、簡易簿記での提出時であっても必要に応じて「総勘定元帳」や「仕訳帳」を用意する必要があります。
白色申告では売上や経費など「儲け」だけが分かれば良いのに対し、青色申告の場合には控除額に関わらず、お金の出入りや資産の残高を記録する必要があるということです。
【注意】青色申告には事前の申請が必須です
「難しくても節税できるなら、複式簿記で青色申告をしたい!」と思った人もいるはず。
でも、青色申告をするには事前に「青色申告承認申請書」を提出し、申請することを認めてもらう必要があります。
青色申告承認申請書を提出できる期間は限られており、下記の通りです。
・開業届を出した翌日から2ヶ月以内
・青色申告をしたい年の3月15日まで
初年度から青色申告をしたいというときには、開業届を出したタイミングで青色申告承認申請書を提出してしまうのがおすすめです。
タイミングを逃してしまった場合には、その年の青色申告はできず、自動的に白色申告をすることになります。
簡易簿記と複式簿記の違いを詳しく解説
簡易簿記と複式簿記の違いは、帳簿方法にあります。
2つの違いをもう少し具体的に、詳しく解説していきます。
簡易簿記とは?
「簡易簿記」は「簿記」と名前がつくため難しそうに見えますが、実際には「おこづかい帳」をつけるようなものです。
簿記の専門的な知識は不要で、エクセルなどでまとめることができます。
簡易簿記で記録するのは、主に下記の2点です。
・収入
・支出
つまり、「いくらの収入があって、経費はいくらなので、結果的な収益はいくらです」ということだけ記録します。
確定申告ではこの収益に対して税率をかけ、税額を導き出すということです。
簡易簿記では基本的に、収入と支出(経費)を日付ごとにまとめ、記録しておくだけでOK。
結果的に所得がいくらなのかが分かれば良く、支出に関してもレシートや領収書に基づいて書き出すだけです。
▼白色申告の簡易簿記に必要な5つの帳簿
・現金出納帳
・預金出納帳
・経費帳
・売掛帳
・買掛帳
上記5点は、青色申告でも必要な共通の帳簿です。
必要に応じて用意すべき帳簿数は異なりますが、原則上記の5つは記録しておく必要があります。
複式簿記とは?
簡易簿記では収入状況と支出の状況が分かればよかったことに対し、複式簿記では資産の増減状況や負債状況まで記録する必要があります。
さらに、簡易簿記ではエクセルなどであくまで「初心者でも見てわかるようにまとめればOK」だったことに対し、複式簿記では簿記の専門的な帳簿付けが必須です。
例えば「仕訳」「勘定科目」「借方」「貸方」などの知識と、それに基づいた貴重が必要になります。
イメージとしては、通帳にあるお金がどこに消え、どこで使われたのかを記録することで、残高が正しいことまで証明しなくてはいけないというものです。
資産の残高がマイナスになってしまうと管理にミスがあることが一目瞭然となり、「経費を誤魔化しているのではないか?」と疑われてしまいやすくなります。
つまり、複式簿記のほうがお金の流れを正確に記録する手段になりうるため、用意する帳簿が増えたり、専門的な知識が増え、難易度が上がります。
その代わりに控除額が与えられるなど、優遇されるということです。
▼青色申告の複式簿記で必要な2つの帳簿
・総勘定元帳
・仕訳帳
上記2点は、青色申告で複式簿記をする場合に必要な帳簿です。
白色申告時に必要な5点とあわせて、複式簿記で青色申告をするときには7点の用意が必要になります。
【まとめ】複式簿記と簡易簿記の難易度とは?
「複式簿記」の難易度は、はっきり言うと高いです。
確定申告で青色申告をするためだけに税理士が雇われるほど、専門的な知識と手間がかかります。
世間では簿記検定を受ける人もいますが、簿記の知識が必須の帳簿付けが「複式簿記」です。
結論、確定申告で必要になる帳簿付けは、複式簿記と簡易簿記どちらにしても手間がかかります。
日頃から数字や表を作り慣れていない人には、かなり苦痛になるかもしれません。
一般的には簡単とされている「簡易簿記」ですら、税理士に依頼をする人も珍しくはありません。
「自分には帳簿付けなんてできない…」
「帳簿付けする時間を業務にあてたい…」
このように思う人は、税理士に確定申告を丸投げしてしまっても良いでしょう。
タックスボイスでは、税理士を無料でご紹介しています。
確定申告に不安がある方は、お気軽にご相談ください。