【法人化しない理由5つ】メリットとデメリットをおさえたベストな選択とは?
個人事業主が法人化する「法人成り」ですが、なぜ法人成りをしない個人事業主がいるのでしょうか?
法人化すべきベストなタイミングは、所得が600〜800万円になったときだと言われています。
法人化する主な理由は、一定以上の金額を稼いでいる場合は、法人化した方が節税になるからです。
とはいえ、所得が800万円をこえた人が一概に法人化すべきかというと、そうとも限りません。
この記事では、法人化するデメリットや法人化しない理由に加え、法人化するメリットについてもご紹介します。
【法人化するデメリットとは?】法人化しない理由
さっそく、法人化するデメリットをご紹介します。
①設立費用がかかる
②会計税務の負担が大きくなる
③社会保険の加入義務が生じる
④株主総会や取締役会が面倒
⑤赤字でも法人住民税がかかる
それぞれについて、詳しく解説します。
法人化するデメリット①:設立費用がかかる
個人事業主になるために手数料は不要ですが、法人になるときには法人設立のための手数料がかかります。
設立費用は、株式会社の設立の場合で最低25万円ほど、合同会社の場合で最低12万円ほどかかります。
資金を投資して、法人化をした方が良いか考えた結果、「法人にするのはまだ早い」と感じるというケースは珍しくないようです。
法人化するデメリット②:会計税務の負担が大きくなる
法人になると、個人事業主のときと比べて会計関係の作業が増えます。
個人事業主としての会計業務がつらい場合や、もう会計業務に時間を割きたくないという人は、法人化を躊躇する傾向があります。
とはいえ、法人になるとほとんどの場合に税理士を雇うことになります。
会計税務の時間がかかることよりも、税理士を雇うことの金銭的な負担にプレッシャーを感じるなら、まだ法人成りは早いかもしれません。
法人化するデメリット③:社会保険の加入義務が生じる
個人事業主の場合は、社会保険に加入せず、4人まで雇うことができます。
一方で法人化すると、雇っている人数に関わらず社会保険への加入義務が生じます。
社会保険料とは会社と従業員が折半して負担するものなので、人件費が上がるのがネックなポイントです。
また、手続きには事務作業が必要なので、法人化や雇用をするタイミングで負担がかかってしまいます。
法人化するデメリット④:株主総会や取締役会が面倒
法人化すると必ず、定期的に株主総会を開かなくてはいけません。
株式会社で取締役会を設置していれば、こちらも定期的に開催する必要があります。
たとえ1人社長の会社で、株主も自分1人の場合にも、原則として株主総会は必ず開催しなくてはいけません。
それも口先だけではなく、議事録や招集通知を作成し、保存する必要があるため、事務的な手間が増えると言えます。
法人化するデメリット⑤:赤字でも法人住民税がかかる
法人化すると、必ず法人住民税を払わなくてはいけなくなります。
法人住民税は、たとえ赤字だった場合や事業を停止している場合にも、年間で最低7万円を払わなくてはいけません。
万が一赤字になってしまったとしても7万円を納税しなくてはいけないため、所得が安定していない法人にとっては不安な要素となります。
法人化する4つのメリットとは?
反対に、法人化するメリットについても確認していきます。
①節税になる
②信頼を得やすくなる
③資金が調達しやすくなる
④給与所得で節税できる
メリットもそれぞれ解説します。
法人化するメリット①:節税になる
「所得が600万円〜800万円になったタイミングで法人化するのが良い」と言われる一番の理由は、所得税にあります。
個人事業主の場合、所得額が330万円〜695万円以下までは、所得税と住民税の合計30%を納めなくてはいけません。
一方で所得額が695万円〜900万円以下の場合、所得税と住民税の合計が33%に上がります。
法人の場合は税率の分け方が異なります。
所得が400万円以下の場合、所得税と住民税、事業税の合計は22%となります。
さらに、所得が400万円〜800万円までの場合、所得税と住民税、事業税の合計が25%となり、法人化していた方が税率が低くなります。
つまり、個人事業主は695万円を超えた時点で、法人化していた方が節税になると考えられるということです。
法人化するメリット②:信頼を得やすくなる
法人化をするということは、法人の登記情報が公開されます。
登記情報が公開されているということは、取引相手から信頼してもらえる可能性が高いです。
出どころのわからない個人事業主と取引をするよりも、法人との方が安心して取引ができると考える人は珍しくないため、より取引の幅が広がることがあります。
法人化するメリット③:資金が調達しやすくなる
法人だけが対象となる補助金や助成金が多いため、うまく活用することで資金を増やし、事業をより大きくできる可能性が高くなります。
法人を対象とした創業融資制度を活用できるのもメリットです。
さらに株式会社なら、株式を発行することで資金を集めるという手も選択肢の一つになります。
資金が調達しやすくなるぶん、事業拡大ができるチャンスが増えると言えるでしょう。
法人化するメリット④:給与所得控除で節税できる
法人化している場合、自分への給料を会社の経費として節税することができます。
さらに、社長が受け取る給与に関しては給与所得控除を受けることも可能です。
年間給料収入が162万5,000円までの場合は、個人事業主と同じように控除額が65万円となっている一方で、それを超えると給与所得控除が大きくなります。
法人化を考える個人事業主で、自分への給料を162万5,000円以下に設定する人はほとんどいないはずです。
例えば、給与所得が800万円の人が受けられる給与所得控除は、約200万円です。
個人事業主の控除額65万円と比べて、135万円分も得をすることになります。
給与所得が大きい人ほど、法人化をしないともったいないということです。
【まとめ】法人化しない理由は?総合的に判断しよう
法人化をしない理由は主に、下記の通りだとご紹介しました。
・設立費用がかかる
・会計税務の負担が大きくなる
・社会保険の加入義務が生じる
・株主総会や取締役会が面倒
・赤字でも法人住民税がかかる
法人化すべきかどうかは単純に判断できるものではなく、総合的に見る必要があります。
とはいえ、一番気になるのは「節税面」というのが正直なところかもしれません。
ある程度所得が大きい個人事業主は、法人化して上手に税務処理をすることで、大きな節税対策が見込めます。
ただし法人化をすると、税務関係が一気に面倒になるのがデメリットです。
怪しい動きは税務署から目をつけられやすくなり、たとえ故意的ではないミスでも許されません。
一般的に、法人化するタイミングで専属の税理士を付けるというケースがほとんどです。
所得がいくらのとき経営者の給与をいくらにすべきか、所得分散はどうすると一番効果的なのかは、それぞれのケースと条件を照らし合わせて確認するしかありません。
法人化に関して詳しい税理士に相談するのが安心です。
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法人化すべきか悩んでいる方や、法人化を決め節税対策についてアドバイスが欲しい方は、お気軽にご相談ください。