【新創業融資制度とは?】審査を通す4つのポイントを徹底解説!
通常、民間の金融機関は、事業をはじめて間もない事業主に、お金を貸してくれません。
それは、「実績」を重視しているからです。
金融機関は事業主にお金を貸し出し、利息で稼いでいます。
事業をスタートして、数年後に廃業されてしまっては、利息で稼ぐどころか、資金も回収できず、大損してしまいます。
そのため、事業の実績がない、創業間もない人には、民間金融機関が相手にしてくれる可能性が低いのです。
しかし日本政策金融公庫は、国が100%出資している公的な金融機関です。
事業主に資金を貸し出す目的は、
●雇用を増やすため
●スタートアップ企業を増やすため
●国を発展させるため
創業間もない事業主にも融資を積極的に行なっています。
民間の金融機関とは、貸し出す目的が異なっているのです。
まだ申告書もない、これから開業する方は、日本政策金融公庫での借り入れが一番、確率が高く、現実的な方法になります。
公庫の商品の中で、スタートアップの事業主が活用すべきなのが、「新創業融資制度」という商品です。
新創業融資制度は、起業してまだ間もない事業主が獲得できる「特典」のような融資です。
今回は、実際、私が日本政策金融公庫の借り入れに通った経験から、新創業融資を受ける際のポイントについてまとめていきたいと思います。
新創業融資制度の使い道は?
新創業融資の使い方に何か縛りはあるのでしょうか?
資金の使い道は、開業前にかかる「設備投資」、または開業した後にかかる「運転資金」の2種類に限定されます。
【設備投資とは?】
内装工事費、パソコン、車両など事業に使用する設備(ハード面)にかかる投資のことです。
【運転資金とは?】
広告宣伝費、人件費、仕入れなど。売り上げが入金されるまでに出て行く経費のことを言います。
この2つが新創業融資制度の主な使い道です。
事業が軌道に乗るまでに必要な資金のため、提出する事業計画書でもきちんとした根拠と裏付けが必要ですね。
【新創業融資制度】限度額はどれくらいか?
3,000万です。(うち運転資金は1,500万)
【新創業融資制度】返済期間どれくらい?
設備資金は20年以内
運転資金は7年以内 です。
【新創業融資制度】利率はどれくらいか?
おおよそ、年間2%前後と考えておくのがいいと思います。
(担保があるか、保証人をつけるか、使い道によっても利率が変わってきます)
【新創業融資制度】担保 保証人は必要か?
日本政策金融公庫の新創業融資制度は、原則的に無担保、無保証人での借り入れが可能です。
(逆に担保や保証人をつければ、利率が下がります)
【担保とは?】
お金を借りた人が、返済できなくなった時に、その返済分を補うために保証するモノ、コト、人(保証人)のことを指します。
【新創業融資制度】利用できる要件は何かあるの?
3つの条件があります。
これらを満たしている必要があります。
①創業の要件
新しく事業を始める人、または事業開始後、税務申告を2期終えていない人
創業間もない事業主に限定されています。
②雇用創出、事業をする人の勤務経験の要件
下記のどれかに該当すればオッケーです。【大多数が太文字に当てはまると思います】
①雇用を生み出す事業を始める人
②技術やサービスなどに工夫を加えて、多様なニーズに対応する事業を始める人
③現在勤めている企業と同じ業種の事業を始める人
・現在の企業に継続して、6年以上働いている人
・現在の企業と同じ業種に通算して6年以上働いている人
④大学等で習得した技術に密接に関連した職種に、継続して2年以上勤めている人、その職種に密接に関連している事業を始める人
⑤認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める人
⑥地域創業促進支援事業により支援を受けて事業を始める人
⑦公庫が参加する地域の創業ネットワークから支援を受けて事業を始める人
⑧民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める人
⑨すでに事業を始めている場合は、事業開始時に上記のいずれかに該当した人
いろいろな要件がありますが、簡単に言えば、
「従業員を雇うために事業をしますか?」
「ちゃんと市場ニーズがあって、差別化された技術やサービスがありますか?」
「未経験じゃなく、経験された業種での開業ですか?」ということです。
③自己資金に関する条件
事業を開始する前、または事業を開始してから税務申告を終えていない方は、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる人が対象になります。
「500万借りるのならば、50万円ほどは用意してくださいね」ということです。
ただし、現在勤めている企業と同じ業種の事業を始める人、認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める人はこの要件を満たしているとみなされています。
【新創業融資制度】主な流れ
次に日本政策金融公庫の新創業融資制度が実行されるまでの流れについてです。
①お近くの支店窓口へ行きます。
↓
②借入れの申し込み及び必要書類の提出
(必要書類→借入申込書、創業計画書、資金計画書、会社パンフレット、商品サービスを説明した資料などアピールできるもの)
↓
③担当者との面談
↓
④結果通知
↓
⑤指定口座へ融資金額の振込
以上が大まかな流れになります。
提出する資料は、日本政策金融公庫のホームページからもダウンロードができますが、
実際支店に足を運んで、担当者と話をすることで、雰囲気を掴むことができますし、何よりいきなり面談よりも、不安を払拭することができます。
新創業融資制度を通すため、どのような審査のポイントが考えられるか?
ポイントは、公庫の担当者が「安心」できるような内容をおさえているか、です。
そのためには以下の4つのポイントが重要になります。
1体力がきちんとあるか?
2そのビジネスの経験がきちんとあるか?
3本気が伝わるか?
4計画がきちんとしているか?
1体力がきちんとあるか?
公庫も貸し出した金額を回収できなければ大損してしまいます。
融資では、この人に返済能力があるか?ちゃんと計画通り、借入れ金額を返してくれるか?
体力を維持できるか?しっかり審査されます。
そのため事業できちんと利益があがることを証明する必要があります。
2そのビジネスの経験がきちんとあるか?
経験したことのあるビジネスは、未経験の分野よりも事業を軌道に乗せるスピードも早いですし、失敗するリスクを最小限におさえられます。
経験は公庫の担当者にとっても安心材料です。
提出する資料にしっかり盛り込みたいものですし、未経験の場合でもその事業に対する熱意をアピールしたいところです。
3本気が伝わるか?
「事業主の本気度」が伝わっていることが重要です。
本気度は、自己資金からもアピールできます。
公庫では、自己資金は、創業資金総額の10分の1以上を確認できる人が対象になることは前述しました。
つまり500万借りるのでしたら、50万以上は最低用意してくださいというものです。
しかし実際は自己資金は10分の1では足りません。3分の1以上は欲しいところです。
「この事業をするためにコツコツ自己資金を貯めた」
こういう事実が【管理計画がしっかりしている事業主】という印象を与えますし、説明する上でも説得力が増します。
4計画がきちんとしているか?
●数値を大きく盛りすぎている
●絵に描いた餅になっている
事業計画や利益計画を大きく見せてアピールするのは逆効果です。
公庫は大化けして、大きく儲かるビジネスより、コツコツ堅実的なビジネスを好むからです。
それはなぜか?
確実に利息や元本を回収しなければならないからです。
現実味がなく、信ぴょう性がない計画では意味がありません。
そのため、120%以上の数値目標ではなく、80%でも実現可能な数値目標のほうが、信頼感を与えます。
事業計画は自分で作成したほうがいいか?それとも税理士に作成してもらうほうがいいか?
これもよく聞かれます。
事業計画の作成は税理士に丸投げではダメです。
事業計画や利益計画を第三者が作成すれば、もちろんしっかりとしたものができますが、それをご自身がきちんと説明できるか?は疑問です。
そのあたり担当者にはしっかり見抜かれているはずです。
事業計画の作成は、丸投げではなく、税理士と一緒に考えて作成するほうがいいと思います。
説明できるまで噛み砕き、根拠をしっかりしたものにしていくことが重要です。
もちろん、面談する際のポイントや対策も税理士と一緒にできますので、成功させる上では、創業前に創業融資に詳しい税理士と付き合うことをお勧めします。
【新創業融資制度】税理士に頼んだら料金はいくらになるか?
新創業融資制度を活用するために、税理士に頼んだらいくらになるか?
料金のお話をしたいと思います。
まず税理士に頼むと、顧問契約で契約することが多くなります。
それは、創業時が一番、相談やアドバイスにかかる時間も多く、税理士としても関与度合いが多くなるからです。
しっかり相談を受けるためには、顧問契約をするのがベストです。
料金はこれからの年商規模によりますが、
月15000円〜で考えておくのがいいと思います。
この中で新創業融資制度まで対応してくれるのか?
顧問契約の中で対応してくれる税理士もいますが、通常の税務顧問以外に時間をかけることも多くなるため、成功報酬で報酬をとる税理士が多いです。
おおよそ調達金額の2%〜3%ほどです。
顧問契約をしていない場合は、調達金額の5%〜10%ほどに設定している税理士事務所もあります。
しかし調達金額が少なすぎて、成功報酬が数万円ならば、税理士も積極的に動いてくれません。
そのため、最低限成功報酬を10万以上に設定している税理士も多いのが現状です。
【まとめ】新創業融資は税理士との付き合いで成功率を高める!
新創業融資制度を100%に近い形で、成功させるためには、自己流で行うのではなく、二人三脚でサポートしてくれる税理士の存在が必要です。
税理士をつけるのは、事業が軌道に乗ってからでいいという人もいますが、創業前に利用できる新創業融資制度は、税理士と顧問契約をすることで、スムーズに申請することが可能になります。
しかし税理士でも「新創業融資制度に関しては、全く分からない」という方もいます。
税理士選びで間違わないためにも、融資や資金調達に詳しい税理士を求めている方はぜひご相談ください。