収入印紙を安く買うには?購入場所や会計処理のポイントまとめ
契約書や領収書など事業を運営するうえで必要不可欠な書類には、収入印紙が必要な場合があります。
そこで、収入印紙はどこで安く購入できるのかを事前に把握しておくと安心です。
〜この記事でわかること〜
・収入印紙とは?
・収入印紙の3つの購入場所と仕訳例
・金券ショップで買うメリットとデメリット
・収入印紙の会計処理のポイント
収入印紙の仕訳例や会計処理についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
収入印紙とは?
収入印紙とは、税金や手数料などを国へ納付するために用いられる政府発行の証票です。
納めるべき金額と同額の収入印紙を所定の書類に貼り付け消印を押すことで、税金や手数料を納付したとみなされます。
収入印紙が必要になるのは、おもに次の2つのケースです。
①印紙税の課税文書を作成した場合
②不動産登記の登録免許税、国家試験の受験手数料、免状の交付手数料など国への税金や手数料を納める場合
特に、日々取引をおこなっている事業者にとっては、印紙税の課税文書を作成する機会が少なくないので、収入印紙が必要な文書があることを知っておかなければなりません。
収入印紙が必要な文書
収入印紙が必要な文書とは、印紙税法の課税物件表に記載のある20種類の文書で、取引の内容を証明する目的で作成された文書をさし、課税文書とよばれます。
課税文書は国税庁のホームページで確認できます。
また、印紙税の税額は課税文書の種類や契約金額等によって細かく定められており、課税文書に使われる収入印紙の額面金額は、1円から10万円までの31種類です。
たとえば、領収書は課税文書の第17号文書「金銭または有価証券の受取書」に該当します。
第17号文書は金銭または有価証券の受取事実を証明する内容の文書であれば対象となるので、領収書はもちろんレシートや預り書なども原則収入印紙が必要になります。
収入印紙の貼り忘れにはペナルティあり
課税文書への収入印紙の貼り忘れや消印の押し忘れがあった場合は、過怠税というペナルティが発生します。
印紙税は「課税文書に貼り付けて消印を押す」という一連の行為をすることで、税金を納めたと認められます。
つまり、貼り忘れだけではなく、消印の押し忘れもペナルティの対象になるので注意しましょう。
過怠税の金額は、納付しなければならなかった印紙の金額の3倍です。
たとえば、1,000円の印紙を貼り忘れたり消していなかったりすると、3,000円の過怠税が発生します。
ただし、税務調査で指摘される前に、自主的に申し出た場合は、1.1倍に軽減されます。
収入印紙の3つの購入場所と仕訳例
収入印紙はおもに次の3つの購入場所で買うことができます。
それぞれの特徴と購入時の仕訳例を解説します。
①郵便局・法務局
②コンビニなど
③金券ショップ
①郵便局・法務局
収入印紙は郵便局や法務局で購入可能です。
ただし、施設によっては高額な印紙を取り扱っていない場合があるので注意してください。
法人登記などの法務局での手続きで収入印紙が必要な時は、その場で買えるので事前に準備する必要はありません。
たとえば、1,000円の収入印紙を買ったときの仕訳例は次のようになります。
なお、郵便局や法務局で購入した収入印紙には消費税はかかりません。
借方 | 貸方 |
租税公課(非課税) 1,000 | 現金 1,000 |
②コンビニなど
コンビニなどでも収入印紙を買うことができます。
また、コンビニなどの施設が郵便切手類販売所または印紙売りさばき所であることが条件です。
郵便切手類販売所または印紙売りさばき所とは、郵便切手類販売所等に関する法律によって、日本郵便が切手や収入印紙の売りさばきに関する業務を委託した施設をいいます。
つまり、郵便切手類販売所または印紙売りさばき所ではないコンビニなどでは、収入印紙を購入できません。
たとえば、1,000円の収入印紙を買ったときの仕訳例は次のようになります。
なお、印紙売りさばき所で購入した収入印紙には消費税はかかりません。
借方 | 貸方 |
租税公課(非課税) 1,000 | 現金 1,000 |
③金券ショップ
金券ショップでも収入印紙を購入することができます。
金券ショップの営業時間は店舗によって違うので購入前に確認しましょう。
土日も営業している店舗もあるので、郵便局などの営業時間外でも利用可能です。
また、未使用で不要な収入印紙を現金化することもできます。
さらに、郵便局や印紙うりさばき所とは異なる点が消費税の取り扱いです。
消費税は国内での商品やサービスの販売に課される税金ですが、収入印紙の販売は国税庁により課税しない非課税取引と定められています。
ただし、非課税となるのは販売者が郵便局、法務局、印紙うりさばき所に限られているので、金券ショップで買った収入印紙は消費税がかかった取引になります。
よって、1,000円の収入印紙を買ったときの仕訳例は次のとおりです。
借方 | 貸方 |
租税公課(課税) 1,000 | 現金 1,000 |
金券ショップのメリット
収入印紙は金券ショップでも買えることを紹介しましたが、金券ショップで購入するメリットを具体的に解説します。
おもなメリットは次の2つです。
①額面より安く買える
②消費税の節税につながる
額面より安く買える
金券ショップでは額面よりも安く買えることが多く、1〜2%程度値引きされていることがあります。
たとえば、10,000円の収入印紙を1%値引で販売する金券ショップでは、9,900円で買うことができます。
消費税の節税につながる
金券ショップで収入印紙を購入すれば、消費税の節税につながります。
郵便局などとは異なり、金券ショップで買った収入印紙は消費税も払っている取引(課税取引)に該当するので、消費税を計算する際に控除することが可能です。
たとえば、年間で100万円の収入印紙を購入していた場合、金券ショップで買えば消費税はおよそ90,909円分(100万円÷1.1×10%)の節税になります。
金券ショップのデメリット
安く買うことができる金券ショップですが、デメリットもあります。
おもなデメリットを2つ紹介します。
①在庫が限られている
②偽造品の可能性がある
在庫が限られている
金券ショップでは在庫が限られていることがデメリットです。
200円や400円の収入印紙は需要が高いので、多くの店舗で取り扱われています。
反対に、高額な収入印紙は流通量が少ないので、在庫を確保していない可能性があります。
偽造品の可能性がある
金券ショップでは偽造品の収入印紙を購入してしまうおそれがあります。
金券ショップは一般から買い取った収入印紙を販売にあてるので、偽造品が紛れてしまう可能性があるからです。
収入印紙には、偽造防止の目的でぼかしなどの細かい細工が施されていますが、一般の方が偽造を見抜くことは容易ではありません。
リスクを回避するなら郵便局で購入しましょう。
収入印紙の会計処理のポイント
収入印紙の会計処理のポイントをまとめます。
次の2つのポイントを意識して処理をおこないましょう。
①消費税の取り扱いに注意
②課税文書かどうかの見極めが重要
消費税の取り扱いに注意
収入印紙は購入場所によって、消費税の取り扱いが異なります。
仕訳や消費税の計算に注意しましょう。
【購入時のポイント】消費税がかかっているか注意する
・購入場所が郵便局、法務局、郵便切手類販売所または印紙売りさばき所の場合、消費税がかかっていない。(非課税取引)
・購入場所が金券ショップなど上記以外の場合は消費税がかかっている。(課税取引)
課税文書かどうかの見極めが重要
収入印紙を貼る必要がある文書、つまり課税文書かどうかを見極めることが2つ目のポイントです。
不要な文書に貼ってしまっては無駄遣いになってしまい、一方で国税庁が定める20種類の課税文書に貼らなければペナルティが発生してしまいます。
しかし、課税文書の見極めは専門的な知識が必要なので、迷ったら専門家に相談しましょう。
【まとめ】収入印紙を正しく処理しよう
収入印紙は郵便局、法務局、コンビニ、金券ショップなどで購入できます。
そのうち安く買えるのは金券ショップです。
しかし、消費税の取り扱いなど会計処理には十分注意しなければなりません。
「収入印紙を金券ショップで買ったときの会計処理がわからない」
「収入印紙の課税文書なのかアドバイスがほしい」
収入印紙でお困りの方は、ぜひタックスボイスへご相談ください。
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収入印紙の会計処理は複雑です。ぜひ専門家へご相談ください。