【インボイスで一人親方はどんな影響がある?】3つの対策を紹介します!
インボイスがスタートするって聞いたけど、どういう制度?
一人親方はインボイスでどんな影響を受けるの?利益が減るって聞いたけど、どうして?
そもそもインボイスについてもわからないし。誰かわかりやすく教えて!
今回はこちらの疑問にお答えしていきます。
インボイスがスタートすることで、売り上げ1,000万以下の一人親方は大打撃があると言われています。
インボイスは聞きなれないワードかもしれませんが、従来の取引を変えるほど、インパクトのある制度です。
【本記事の要点】
・そもそもインボイスってなに?
・消費税の仕組みを簡単に解説!
・インボイスは一人親方にはどんな影響がある?
・インボイスで一人親方ができる対策とは?
この4つのポイントからお話ししていきたいと思います。
特に小規模で運営している一人親方はぜひご参考ください。
そもそもインボイスって何?
インボイスとはざっくりいうと、消費税の透明性を図った制度のことです。
簡単にポイントだけおさえてきましょう。
①2023年10月からスタート
②適格請求書(インボイス)とは国が認めた請求書のことをいう
③この適格請求書(インボイス)を発行しないと、仕入税額控除を受けられない
④免税事業者の一人親方はインボイスを発行できない
なんか難しい単語が並びすぎて意味がわからないよ
ここでは、3つ目のインボイスを発行しないと仕入税額控除を受けられない
この点だけおさえておいてください。
インボイスを理解するには、まず従来の消費税の仕組みからお話する必要があります。
順を追ってみていきましょう。
下の図をご覧ください。
消費税の仕組みです。
元請の建設会社は一次請けに330万(税込)で工事を発注し、110万円(税込)で一人親方に外注しています。
一次請けの納める消費税はいくらになるでしょうか?
30万−10万=20万円
20万円を税務署に納めます。
一人親方に支払っていた外注費は、仕入税額控除を認められていたので、一次請けは10万の消費税を引けていたため、納める税金は20万円で済んでいました。
次にインボイス導入後を見ていきましょう。
図の通りです。
インボイス制度が導入されたあと、一次請けが納める消費税はいくらでしょうか?
30万円−0万円=30万円
仕事を発注した一人親方が、インボイスを発行できない免税事業者だった場合、一次請けは消費税の仕入控除を受けられなくなります。
つまり仕入れにかかった消費税が0になってしまいます。
元請けから預かった消費税をそのまま納めることになるのです。
つまり導入前に比べて10万円利益を減らしてしまうというという事です。
一次請けが頼む免税事業者の一人親方が多ければ多いほど、それだけ利益がどんどん減ってしまうことになります。
一次請けの利益が減れば、当然一人親方が受ける影響も大きくなります。
次に一人親方が受ける影響を見ていきましょう。
インボイスで一人親方が受ける3つの影響
①取引が減る
何度もおさらいになりますが、インボイス制度は仕入業者(ここでは一人親方)に支払った消費税が認められなくなる制度です。
一次請けとしては消費税を多く払わなくてはならないので、利益が減ってしまいます。
一次請けの立場としては、
インボイスを発行してくれる一人親方
インボイスを発行しない一人親方
どちらに仕事を依頼しやすいでしょうか。
もちろんインボイスを発行してくれる一人親方ということになります。
1,000万以下の免税事業者の一人親方に頼むと損になるので取引が減ってしまいます。
これが一番の大打撃です。
②値下げされる
取引を減らされたら、うちはやっていけない!
仕事を発注してよ!
インボイスを発行できない一人親方に一次請けはどういう対応をとるか?
消費税分、代金を減らすはずです。
今まで税別100万で頼んでいた工事は、10万引いて90万円で発注しないと、従来と同じく帳尻が取れないのです。
10%の単価が下がればかなりの負担を強いられます。
③従来の消費税分は利益にできない
免税事業者の一人親方は、消費税の上乗せ分はまるまる利益になっていたはずです。
消費税分の上乗の利益は、いわば免税事業者にとってボーナスタイムだったのです。
インボイスによって消費税の支払が透明になれば、ボーナスタイム自体がなくなることになります。
国がインボイスを導入する背景は、免税事業者が得していた益税をなくす動きもあるのです。
インボイスで一人親方ができる3つの対策とは?
①売上1,000万以上を目指す
免税事業者に打撃があるインボイス制度ですが、課税事業者である年商1,000万以上を狙いにいくことです。
身もふたもない話ですが、これが一番プラスに考えられる対応策です。
課税事業者になれば消費税を支払うことはやむをえません。
独立の基準としてみなさん目指すであろう1,000万の売上を到達してしまえば、インボイスのデメリットを考える必要がなくなります。
今まで以上に取引先を拡大する必要がありますが、抜本的な抜け道がないからこそ、本業に力を入れることが必要になります。
②替えのきかない人材になる
一次請けの立場になれば、替えの効かない人材には、工事単価を上乗せしてでも仕事を頼みたいと思うはずです。
建設業界は慢性的な人手不足
一次請けも課税事業者に頼むと言っても、力のない事業者には頼まないはずです。
10%を上乗せしたとしても、その人以外考えられない、替えの効かない人材になるというのが重要です。
③課税事業者になる
免税事業者の一人親方は、あえて課税事業者になることをおすすめします。
あえて消費税を支払うことにするのです。
課税事業者になるためには、「課税事業者選択届出書」の提出をしなければなりません。
2023年10月からスタートするインボイスに合わせて、2022年までには届出を行なっておきたいところです。
ただ課税事業者になるといっても、仕事が少なくなるリスクと利益が減るリスク、両方を考えなければなりません。
今まで消費税分として上乗せしていた10%分は売上が減るわけです。
課税事業者になるメリットと免税事業者のまま売上が減ることを天秤にかけて考慮して選ぶことが大切になります。
以上がインボイスに対する、一人親方のできる3つの対応策です。
劇的な裏技はないですが、インボイスに向けてしっかり準備しておきたいところです。
【まとめ】一人親方はインボイスをしっかり理解して備えることが大切
今回は一人親方に影響のあるインボイス制度についてまとめました。
インボイスは免税事業者に深く関わってくる制度です。
早めの行動で必要な準備を整えておくことが大切です。
対策のところでお話ししました、一人親方も課税事業者になれば消費税申告の必要が出てきます。
消費税申告は複雑なことも多く、税理士の力を借りたい人も多く出てくるでしょう。
タックスボイスでは一人親方にしっかりした税理士の紹介を行なっています。
ぜひ一人親方で税理士をつけたい人がいましたらご相談ください。