決算期変更のメリット・デメリット&変更する際の注意ポイント
節税対策を考えるとき、もっと効率的に経営をおこないたいとき、「決算期の変更」が手段のひとつとしてあがるケースがあります。
決算期といえば、日本の大手企業や上場企業のほとんどが3月に設定しているイメージがあるかもしれません。
でも本当は、決算期は企業それぞれ自由に決めていいことになっています。
希望にあわせて設定する方がメリットが大きいです。
▼この記事でわかること!
・決算期の決め方とは?
・決算期を変更するメリット
・決算期を変更するデメリット
決算期の変更は正しいタイミングに設定することによるメリットは大きく、変更に手間や時間はかかるものの、特別に費用がかかるものでもありません。
この記事では、決算期変更のメリットやデメリットを詳しくご紹介します。
決算期とは?決め方の基本
「決算」とは、1年間の収支を総括して算出し、利益と損失をはっきりとさせることです。
決算期は1年間に1度設定するもので、業績の振り返りを行います。
次年度の予算や指標を決めたり、改善点を見つけることで今後の事業に活かすきっかけにもなるため、決算は事業の節目にあたる時期に設定できると◎。
決算期を変更するならいつがベスト?
多くの企業が3月あるいは12月に決算期を設定しているため、足並みを揃えるために同時期に設定しようと考える企業が多いです。
しかし実際には決算期のタイミングに指定はなく、仕事柄、余裕のある月に決算月を設定して問題ありません。
決算には多くの労力が必要になるため、おすすめは「繁忙期を避ける」ことです。
年間で一番いそがしい時期が3月や12月であるという企業は無理に決算をかぶせる必要はなく、落ち着くシーズンに決算をすれば問題ありません。
決算期変更のメリット
事業運営する上で状況が変わり、「決算期を変更した方が良いかも…」と思っている人もいるでしょう。
決算期を変更するときには、メリットをおさえておくことでベストなタイミングを見つけることができます。
▼決算期変更の主なメリット
①決算業務にかける時間ができる
②節税対策をする時間をつくれる
③役員報酬の変更ができる
それぞれ解説していきます。
【決算期変更のメリット①】決算業務にかける時間ができる
決算期前には、業務面で大きな負担がかかることがほとんどです。
書類の準備や棚おろし、節税対策、経理管理、税理士との打ち合わせなど、個人事業主の確定申告と比べて忙しい時期になります。
決算期が繁忙期と重なってしまった場合には、経営の負担がかなり大きくなってしまうだけでなく、ミスの原因になってしまうことも。
そこで、決算期を変更することにより、繁忙期と時期をずらして決算業務に余裕をもたせることができるようになります。
また税理士の繁忙期である12月、3月を避けることで、税理士との打ち合わせも余裕を持って行えるので忙しい月を決算にしている会社は考えてみてください。
【決算期変更のメリット②】節税対策をする時間を作れる
たとえば繁忙期の後、大きな収益を出してからすぐに決算期となってしまう場合、節税対策をする時期を設けることができません。
そこで決算期を大きな利益が出る前の月に設定することで、該当月の決算業務を翌年に持ち越すというのは1つの節税テクニックです。
多くの企業が繁忙期の前に決算期を設定し、大きな利益が出た月の後には1年を通して節税対策をほどこします。
決算期変更による節税対策を見込みたい場合には、あわせて他の節税対策を施すことで、より効果が期待できます。
決算期の変更にあたり、あわせて節税対策をほどこせるその他の部分についても税理士に相談してみましょう。
【決算期変更のメリット③】役員報酬の変更ができる
役員報酬を経費にする場合には、1年に1度設定し、毎月固定にしなくてはいけません。
役員報酬の変更は原則、決算後3ヶ月以内に株主総会を開催し行わなくてはいけないため、決算期を変更することで役員報酬の変更をはやめることができます。
また、役員報酬額次第では、社長の年収が変わるほか、節税にも直結するものです。
タイミング次第では、多方面に大きな変化を見込めます。
決算期変更のデメリット
決算期変更にはメリットが大きいですが、タイミングによっては大きなデメリットとなることもあります。
▼決算期変更の主なデメリット
①変更にあたり手間がかかる
②納税時期が前倒しになる
③消費税の免除期間が短くなる
特に開業して3年未満の場合には、デメリットになりやすい傾向があります。
反対に、開業前に決算期をしっかりと検討し決めておけば、デメリットの大部分を避けることが可能です。
【決算期変更のデメリット①】変更にあたり手間がかかる
決算期変更にあたり、定款変更など様々な手続きがともないます。
とはいえ登記事項などの大きな手続きが必要なものではないため、そこまで構える必要はありません。
一度変更するくらいであれば手間自体は大きなものではありませんが、手間がかからないわけではないため、1度決めたら固定してしまうのが良いでしょう。
【決算期変更のデメリット②】納税時期が前倒しになる
決算期変更では、後ろ倒しをすることはできず、必ず前倒しで変更する必要があります。
もし後ろ倒しで変更したい場合には、一度1期分で決算をして、また改めて決算期を前倒しするかたちで変更し決算し直さなくてはいけません。
つまり、決算期変更をする場合には必ず期間は「12ヶ月未満」になるため、決算業務をするタイミングがはやまり、負担が増えるといえるでしょう。
【決算期変更のデメリット③】消費税の免除期間が短くなる
法人の資本金が1,000万円未満の場合、原則としては2期までは消費税の納税が免除とされています。
決算期は前倒しで変更するしかないため、もし2期目以前に変更をしたい場合には、消費税の免除期間が減ってしまうことがあります。
なぜなら、消費税免税の期間はあくまで「2期」までであり、「2年」ではないからです。
厳密にいうと、2期のあとに消費税の納税が必要かどうかは事業の状態によっても異なりますが、事業の拡大を検討している企業にとっては懸念すべき点になりうるでしょう。
【まとめ】決算期変更のメリットを上手に活用しよう!
決算期の変更は、節税をはじめ資金繰りをコントロールできるなど、大きなメリットが得られることがあります。
しかしやみくもに変更してしまうと、かえってデメリットとなってしまうことも。
決算期を変更したいと考える人の多くが、繁忙期とのかねあいや、節税面を気にしている人です。
繁忙期の前に決算期を変更することで、業務に余裕をもたせられるほか、翌年度を丸々利用して節税対策をほどこすことができるとお伝えしました。
✔️決算期変更で節税効果を最大にする方法
決算期による節税対策で一番効果が期待できるのは、ほかの節税対策と組み合わせた場合です。
最初こそ手間はかかりますが、一度節税する流れを作れてしまえば、あとは難しいことはありません。
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