【日本の収入を得る海外在住者】税金はどうなる?非居住者の納税事情

 

海外に在住しているけど、日本の企業や個人から収入を得ているというフリーランスが珍しくなくなってきました。

長期的に滞在している人は、日本の住民票を抜き、海外で賃貸をしているということもあるでしょう。

 

そんな非居住者が収入を得ている場合、税金はどうすればいいのでしょうか?

 

結論をお伝えすると、非居住者は日本へ税金を納めなくてもいいことがあります。

 

ただし日本へ納税しない場合には、居住国などいずれかの国では納税しなくてはいけません。

 

つまり、収入があるからには必ず、どこかの国への納税義務を果たす必要があるということです。

 

▼この記事でわかること!
・日本の収入を得る海外在住者の納税義務とは
・納税義務の有無を分ける居住者と非居住者とは
・税務関係で悩んだ場合の対処法

 

この記事では、日本の収入を得る海外在住者さんに向けて、税金をどうすべきか詳しくご紹介します。

 

 

目次

日本の収入を得る海外在住者の税金はどうなる?

 

日本の企業から日本円で給料が振り込まれる、という海外在住者は、どのように納税していけばいいのでしょうか?

 

海外在住者の場合、「居住者」「非居住者」どちらにあたるかによって、日本に納税義務があるかどうかが変わります。

 

・居住者:国内に住所がある、あるいは1年以上日本国内に居住する人
・非居住者:居住者ではない人

 

居住者であれば必ず日本に納税する必要があります。

 

一方で非居住者であれば、場合によって日本に納税することになります。

 

つまり、日本の銀行に日本円で入金されているからといって、日本への納税義務があるわけではありません。

また、海外に在住している人が必ずしも「非居住者」になるわけでもないです。

海外在住者が日本の「居住者」になるケースとは?

日本だけでなく海外で発生した収益も、「居住者」にあたる場合には日本へ納税しなくてはいけません。

 

日本の「居住者」は基本的に、下記のような条件にあたる場合とされています。

・日本に住所がある
・1年以上日本に滞在している

 

なお、住民票が日本にあるかどうか、というのは一概に判断基準になりません。

重要なのは、日本に継続して住んでいるかどうかです。

 

反対に言うと、住民票を抜いているからといって日本に継続して滞在していれば、日本の居住者になります。

 

ただし実際には、住民票があれば「居住者」、住民票を抜いて海外にいれば「非居住者」であるとされることが多いです。

 

確定申告を基準にする場合にも原則、住民票の有無により海外からの確定申告の可否が決まります。

 

詳しくはこの記事で後述していきます。

日本と海外の二重課税になる?

 

海外在住のフリーランスなら、「2つの国に納税しなくてはいけないのか」「二重課税になるのか」と不安に感じている人もいるでしょう。

 

原則、二重課税の心配はいりません。

ただし、該当国が「租税条約」を結んでいる国であることが条件です。

 

二重課税の回避を目的とした「租税条約」を結んでいる国どうしであれば、「外国税額控除」を受けることができます。

 

ただし控除を受けられる外国所得税には制限あるため、その年の日本での所得額や外国所得額をもとに計算する必要があります。

 

特に海外の在住国から収入を得ている場合には、外国税額控除の対象であるか確認し、必要に応じて確定申告をしなくてはいけません。

 

まずは居住国が「租税条約」を結んでいるかどうかを確認しましょう。

海外在住者が日本の「非居住者」になるケースとは?

 

非居住者であるかどうかの判断基準をおおざっぱにお伝えするなら、「完全に海外に住んでいる」かどうかです。

 

日本に住民票を置いていれば国民健康保険に加入できるため、歯医者での治療を安く受けられるというメリットもあります。

 

1〜2年程度の海外移住であれば、あえて住民票を抜かずに日本を出る人もいます。

 

日本に住民票を置いている場合にも、必ず日本の居住者にあたるわけではありません。

 

実質的にはほとんど日本に帰っていない場合には、非居住者であると判断されることもあります。

 

反対に、総合的には海外に滞在していても、しょっちゅう日本に帰っている場合には、居住者とされる可能性もあります。

 

非居住者も確定申告が必要になるケース

 

非居住者の場合、日本ではなく滞在国へ納税すればいいことがある、とお伝えしました。

 

しかし、非居住者であっても日本への確定申告が必要なケースもあります。

 

たとえば、日本に支店や作業所、貸し出しにより収益を出している物件などがある場合には原則、毎年日本に確定申告をしなくてはいけません。

ただし確定申告ができるのは「日本に住所がある」人に限ります。

 

つまり、自分が居住者である、あるいは日本居住者である「納税管理人」に代行を依頼する必要があるということです。

海外在住者が日本の確定申告をする方法とは?

 

海外にいる場合にも、日本の居住者として日本に住所を置いている場合には、e-Taxから確定申告がおこなえます。

 

しかし反対に、e-Taxでの電子申告ができるのは日本国内に住所がある人のみなので、非居住者は対象外であると考えます。

 

たとえば1年以上の転勤をしているサラリーマンや、国外転出届(海外転出届)を出した人の場合には、日本国内の住所がないためe-Taxでの電子申告ができません。

 

確定申告を海外からおこなえるかどうかは、住民票の有無によるところが大きいというのが事実です。

 

非居住者の確定申告には「納税管理人」が必要

 

非居住者が日本で確定申告をしたい場合には、日本で「納税管理人」を選定しておく必要があります。

 

納税管理人とはその名の通り、納税者に代わって税務対応をしてくれる人や、法人のことです。

原則としては、出国前に納税管理人を選び「所得税・消費税の納税管理人の解任届出書」の提出など、手続きをしなくてはいけません。

 

もし納税をしなかった場合には、延滞税や加算税などペナルティがあるので、必ず出国前に手続きをしましょう。

 

納税管理人として依頼する相手は、信頼ができる人あるいは税理士を頼りましょう。

 

相手には少なくとも手間をかけることになり、延滞税などの責任も重いため、親や兄弟などにも頼みづらいという人もいるはずです。

 

税務関係の専門家である税理士に依頼してしまえば、安心できます。

 

日本の収入があっても、海外在住者は税金が安くなる?

 

「海外に在住した方が、日本に納税するよりも税金が安くなる」という噂を聞いたことがある人もいるでしょう。

 

確かに、日本よりも税率が低い国へ移住できれば、払わなくてはいけない税金は安くなります。

 

このように日本よりも税金が安い国は「タックスヘブン」と呼ばれていて、経営者が海外移住を考えるときに注目されるものです。

 

しかし、タックスヘブンへの移住は簡単とは限りません。

主な問題点としては、「ビザの取得」や「物価の高騰」があげられます。

 

・マレーシア
・シンガポール
・カナダ

 

住民税がないなどの理由で、上記のような国が節税目的で滞在する先として選ばれることが多いです。

 

ただし、そもそも在住するためのビザ取得に数十万円〜数百万円かかるなど、生半可な覚悟では実現できないでしょう。

 

【まとめ】海外在住者者は日本の収入もどこかの国に納めよう

 

海外在住者で日本から収入を受け取っている人は、日本の居住者であれば日本に納税しなくてはいけません。

 

一方で非居住者であれば、日本以外の法律にしたがって納税すればいいこともあります。

 

居住者にあたるかどうかは繊細な判断が必要なので、悩んだときには専門家の判断をあおぎましょう。

 

とはいえ日本の収入しかないときには、ひとまず日本に納税しておけば脱税は防げるので安全です。

 

一方で日本だけでなく海外からも収入があるときには、各必要項目を確認しながら納税方法と納税額を割り出さなくてはいけません。

 

「自分は非居住者にあたるのかな?」
「海外から確定申告をしたいけど、納税管理人は誰にしよう…」
「日本と海外どちらからも収入があって手続きが面倒」

 

このような人は、税理士に相談してみると簡単に解決するかもしれません。

 

タックスボイスでは、税理士を紹介する無料サービスを提供しています。

 

海外在住中の税務関係について疑問点のある方は、お気軽にご相談ください。

 

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この記事を書いた人

株式会社トライパートナーズ 代表取締役 山崎友也

当サイト「タックスボイス」運営者です。

相談実績1,000件以上。

税理士紹介のコーディネーターをしています。
日々電車に揺られ西に東に奔走しています。

税理士さんについて知らない社長さまも多く、考え方のギャップを
埋めたい!と思いブログサイトを立ち上げました。

IT、建設業、美容室、飲食店、eBay、せどり、不動産業、エンジニアなど。

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