【個人事業主に定款作成は必要?】そもそも定款ってなに?わかりやすく解説!
法人を設立したときには「定款(ていかん)」と呼ばれるものを作成しなくてはいけません。
では、個人事業主も定款を作成しなくてはいけないのでしょうか?
結論をお伝えすると、個人事業主やフリーランスであれば定款を作成する必要はありません。
しかし、「商号登録」をしておいた方が良いかもしれません。
▼この記事でわかること
・そもそも定款とは?
・個人事業主がすべき商号登録とは?
・法人化する前にすべき定款の準備
この記事では、そもそも定款が何なのかから、個人事業主がすべき商号登録が何なのかまで、詳しく解説します。
なお、個人事業主が法人化する際には定款を作成しなくてはいけません。
今回は、定款の作成に必要な準備についてもあわせてお伝えします。
そもそも定款とは?→法人の定めるルールです
「定款(ていかん)」とは、会社に定める憲法を書き記した、「ルールブック」のようなものです。
法律に沿って作成される必要があり、法人は定款で定めた内容をもとに法的な力を持つことになります。
記載事項としてはたとえば、下記のような内容があります。
・会社の名称
・会社の住所
・事業内容
・発起人全員の署名と押印
・公証人による認証
・会社のルール
定款に記載されていないことは無効となってしまうため、もれなく記載することが今後の法人の運命を左右すると言っても過言ではありません。
定款はなぜ必要?記載することとは?
上記でご紹介したような内容は、主に3つの項目に分けて存在しています。
①絶対的記載事項
②相対的記載事項
③任意的記載事項
それぞれの内容について、簡潔に解説します。
✔️定款の記載内容①:絶対的記載事項
絶対的記載事項は、必ず(絶対的に)記載をしなくてはいけない事項です。
記載をされていない場合には、定款自体が無効になってしまいます。
・事業の目的
・商号
・本店の所在地
・出資額の価格
・発起人の氏名や名称、住所
どれだけしっかりと定款を作成しても、絶対的記載事項が抜けてしまっていると定款として認めてもらうことができません。
✔️定款の記載内容②:相対的記載事項
相対的記載事項は、法的には記載しなくても問題がないものの、記載がない場合にはその事項の効力がなく無効になってしまいます。
たとえば、株式を発行しなくてはいけない義務があるかどうかを記載することが可能です。
今後なにかがあったときに会社を守ってくれる存在にもなり得るため、念入りに決めておきましょう。
・株式の譲渡制限に関する制限
・株主総会など招集通知を出す期間の短縮
・株主名簿管理人
・単元株式数
定款に記載をしておかないと効力を発揮しない事項について、漏れがなく記載しておくことが大切です。
✔️定款の記載内容③:任意的記載事項
任意的記載事項は、決めなくても良い事項である点では相対的記載事項と同様です。
しかし、任意的記載事項については定款に記入しなくてもいいとされています。
・事業年度
・基準日
・取締役等の役員数
・役員報酬に関する事項
・株主総会の議長の決め方
上記のような内容は、定款に記載をされていなくても他の文書にて記載をしておくことで、効力が認められます。
定款の認証手続きは自分でできる?
必要書類を用意して、法務局に登記申請をすればいいため、自分でできる手続きではあります。
ただし定款は法人にとってとても大切な存在となりますので、専門家である司法書士や弁護士などの力をかりて作成するのがおすすめです!
法人を設立するということは法的な効力が大きく関わり、経済規模も大きくなります。
これを機に司法書士や弁護士と連携を取るようにしたり、税務関係を税理士に任せるなど、自分だけで解決しようとするのは卒業するといいかもしれません。
個人事業主が信用性を高めるためにできることとは?
定款とは法人にとってのルールなので、個人事業主は定款を作成する必要はありません。
つまり、定款は起業するから必要なのではなく、法人としての事業形態で経営していくために必要なものです。
個人事業主が起業にあたり提出すべきなのは「開業届」です。
とはいえ個人事業主における開業届は、届出なくても罰則などはありません。
詳しくは下記の記事でも解説しています。
ただし定款を気にしている個人事業主なら、法人と比べて社会的信用が低いと言われていることを気にしているはずです。
そこで個人事業主が信用性を高めるためにできるのが「商号登記」です。
個人事業主が登録すべき「商号登記」とは?
商号登記とは、個人事業主の屋号を法務局に登記することで、代表者名や所在地を公開することです。
本当に事業を行っていることを証明することができるため、個人事業主でもクライアントへ安心感を持ってもらうことができます。
屋号として正式に登記することで個人事業主として箔が付くだけでなく、法人化したときにもそのまま使い続けることが可能です。
ただし、いつでも変更できる屋号とは異なり、商号登記には3万円ほどの費用がかかります。
ただし、いつでも変更できる屋号とは異なり、商号登記には3万円ほどの費用がかかります。
さらに法務局への提出が必要となるため、屋号の提出と比べて少々複雑です。
▼商号登記のメリット
・社会からの信頼性を高められる
・法人化しても同じ屋号が使える
・同じ所在地で同じ商号の登記ができなくなる
▼商号登記のデメリット
・登記に費用がかかる
・書類を用意する手間がかかる
屋号の登録時と異なり手軽なものではないからこそ、それだけの価値があるものです。
ただし、手間と費用をかけるだけの必要性があるかを考えてみるといいでしょう。
個人事業主が「商号登記」に必要なものとは?
商号登記をするときには必ず、個人の実印と個人実印の印鑑証明証が必要になります。
さらに、屋号を登録する際には屋号印も必要になるので、用意しましょう。
・個人の実印
・個人実印の印鑑証明書
・印鑑届出書
・商号登記申請書
・登録免許税3万円
・屋号印や商号印(ある場合のみ)
登録免許税の3万円は印紙を申請書に貼り付けておこなうので、先に法務局で申請書の内容を確認してもらいましょう。
法務局で相談しながら手続きができるので、必要なものだけ揃えたら法務局に行って申請を完了させるのがおすすめです。
個人事業主は「定款」ではなく「商号登記」をしよう!
個人事業主は定款を作成する必要はありませんが、信頼性をアップさせたいなら商号登記をすることができます。
商号登記なら法人化したあとにも同じ屋号を使うことができるので、経営履歴も長くなり将来的にも信頼性を強めることが可能です。
個人事業主が商号登記を考えた方が良いのは、経営の幅を広げるにおいて信頼性が必要なときでしょう。
今後は経営が波に乗り、収益も増大する可能性も加味しているはずです。
税制面や節税対策は、しっかりとできているでしょうか?
経営規模が本格的に広がり収益性が高くなるにつれ、税務署も目を光らせてくるようになります。
もしまだ確定申告を自力でやっている経営者がいるのなら、そろそろ税理士を通しておくと安心です。
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