【リスケ交渉】返済条件を変更するときに注意したい6つのポイント
資金繰りが悪化し融資返済が難しくなった場合、借入先へのリスケ交渉が対処法の1つです。
しかし、リスケ交渉は返済条件の変更なので、事前に注意すべきポイントを知っておかなければ、リスケしても経営状況がさらに悪化してしまうことがあります。
この記事でわかること
・返済条件変更の方法
・リスケ交渉のデメリット
・返済条件の変更で注意したい6つのポイント
融資返済が資金繰りを圧迫してお困りの方も、ぜひ最後までご覧ください。
リスケ交渉とは?返済条件変更の方法をおさらい
融資のリスケとは、融資当初の返済条件を変更することでリスケジュール(reschedule)=予定を変更するという意味の略語です。
借り手が返済困難になった場合などに、借入先に返済条件の変更を相談することをリスケ交渉といいます。
まずは、返済条件変更の方法をおさらいしましょう。
おもな方法は次の3つです。
・返済期間をのばす
・一定期間の返済額を減らす
・一定期間は元本の支払いを据え置く
返済期間をのばす
まず1つ目に返済期間をのばす方法があげられます。
返済期間をのばすと、1回の返済額を減額することが可能です。
返済額が少なくなれば、業績回復のために使える資金がうまれます。
ただし、このようなリスケ交渉が必要な場合は業績がかなり悪化しているケースが多いため、銀行が返済期間延長に応じない可能性も十分考えられます。
一定期間の返済額を減らす
一定期間の返済額を減らすことも1つの方法です。
返済期間全体の返済額を減らすのではなく、経営が厳しいある一定期間だけの減額を交渉します。
返済が猶予されている間は、資金に余裕ができるため、経営の立て直しに注力できます。
ただし、猶予期間中に業績回復が見込めなければ、猶予後に再開される返済と延長された返済期間のために、さらに経営が厳しくなるおそれがあります。
一定期間は元本の支払いを据え置く
一定期間は元本の支払いを据え置くこともあります。
返済額のうち元本部分の返済をせずに、利息のみを継続して支払う方法です。
一定期間の返済額を減らす方法と同じように、業績回復のために使える資金を増やすことができます。
しかし、返済期間がのびることに注意しなくてはなりません。
元本据置の期間中に、事業再生に専念して返済再開に備える必要があります。
リスケ交渉のデメリット
リスケ交渉にはデメリットがあり、経営に与える影響も大きいので注意しなければなりません。
次におもなデメリットを3つ解説します。
①新たな融資を受けにくくなる
②返済期間が長くなる可能性がある
③追加の費用や手間がかかる
新たな融資を受けにくくなる
リスケ交渉をおこなうと、一定期間は新たな融資を受けにくくなります。
そもそもリスケは、資金繰りが悪化し返済が困難になった会社が、資金繰りを改善するための対処法です。
すでに実行されている融資の返済が契約どおり返済できない状況では、新たに融資をおこなっても返済能力がないと銀行は判断します。
よって、リスケ期間中は新たな融資を受けることは難しくなります。
返済期間が長くなる可能性がある
リスケの方法によっては、返済期間が長くなる可能性があります。
完済までの期間が長くなると、利息が増えたり長期間融資契約に縛られたりする負担がデメリットとなります。
しかし、返済期間を延長すると1回ごとの返済額は少なくできるので、優先すべきなのは現状の資金繰り改善か返済期間の負担回避かを慎重に検討することが重要です。
追加の費用や手間がかかる
リスケに追加の費用や手続きの手間がかかることもデメリットです。
融資の契約条件を変更するため、銀行から手続きにかかる手数料を請求されたり、契約によっては金利が引き上げられる可能性があります。
また、リスケの申し込みには事業計画書などの書類が必要になるため、交渉準備の手間も増えます。
経営改善のためのリスケであるにもかかわらず、想定以上に負担が増えてしまっては本末転倒です。
返済条件の変更で注意したい6つのポイント
返済条件の変更を検討するうえで、次の6つのポイントに注意しなければなりません。
それぞれ解説します。
①リスケのタイミングを間違えない
②リスケ前に新規融資を検討する
③売掛金や不動産を担保にできるか検討する
④返済は各金融機関に公平におこなう
⑤借入先と密接にコミュニケーションをとる
⑥説得力のある経営改善計画書を提出し実行する
①リスケのタイミングを間違えない
返済条件を変更するうえで、最も重要なポイントがリスケのタイミングを間違えないことです。
リスケは返済額を少なくしてキャッシュアウトを抑える手法で、新たに資金が増えるわけではありません。
そのため、運転資金がかなり少なくなってから慌ててリスケ交渉をしても、経営改善のための資金が足りずに倒産してしまうケースがあります。
また、さらに手元資金がない場合には、リスケ交渉中の資金ショートによる倒産もあり得ます。
融資の返済が苦しくなってからでは遅いので、リスケの必要性が予測できた段階で早めに対処しましょう。
②リスケ前に新規融資を検討する
ポイントの2つ目は、リスケを申し込む前に新規融資を検討することです。
リスケのデメリットでもあげたように、リスケ期間中は新規融資を受けることができません。
事業が回復し新たな資金が必要になっても、資金を調達するのが難しくなります。
まずは、返済猶予よりも手元資金を増やすための新規融資を考えましょう。
ただし、新規融資を受ける場合も、事業回復が見込まれることが前提になります。
新規融資を受けられる業績のうちに、早めに動くことが重要です。
③売掛金や不動産を担保にできるか検討する
業績による新規融資が難しい場合は、会社が保有する売掛金や不動産を担保にすることを検討しましょう。
売掛金や不動産を担保にした資金調達は、リスケ中であっても実行できます。
なぜなら、現状や今後の業績ではなく、現在保有する売掛金や不動産の価値が重要だからです。
万が一返済がないときは、銀行は担保にした売掛金や不動産を売却して融資を回収します。
よって、会社は返済に不安のある業績であっても、担保にできる物件があれば、融資を受けられる可能性が高くなります。
④返済は各金融機関に公平におこなう
複数の金融機関から融資を受けている場合、金融機関の公平性を保つために、返済はすべての金融機関におこない、リスケもすべての金融機関と交渉しましょう。
返済資金が少ないために、一部の金融機関にだけ返済をしていると、返済されない金融機関との信頼関係が破綻してしまいます。
また、リスケの条件についても公平であることが重要です。
一部の金融機関だけ担保を入れたり、かたよった資金配分にしたりするのは得策ではありません。
金融機関から条件を提示されたら、他の金融機関とも相談して、公平に対応するようにしましょう。
⑤借入先と密接にコミュニケーションをとる
返済期間中は借入先と、密接にコミュニケーションをとることも重要なポイントです。
借入先側は融資が貸し倒れてはいけないため、返済能力に大きな変化はないか常に情報を必要としています。
そのため、借入先への現状報告を定期的におこなっていれば、借入先は会社がどのような状況なのかを具体的に把握できているので、貸し倒れるリスクを回避するため、リスケや新規融資を認める可能性があります。
会社の業績を正確に報告し、問題が発生したときにはすぐに借入先に相談するようにして、借入先との信頼関係を構築しておきましょう。
⑥説得力のある経営改善計画書を提出し実行する
リスケ交渉には説得力のある経営改善計画書を提出し、実行しなければなりません。
銀行としてはリスケした後に、会社の返済能力が回復するかどうかが最大の懸念事項だからです。
経営改善計画書に必要な項目を、中小企業庁がサンプルとして次のように公開しています。
・債務者概況表
・財務状況、事業の課題や問題点
・経営改善計画の基本方針
・計画期間、改善目標
・資金実績と予測
・具体的な施策と実施計画
特に、具体的な施策と実施計画は説得力のあるものを作成しましょう。
なお、経営改善計画書の作成には専門知識が必要なケースがあるので、専門家と相談しながら作成することをおすすめします。
【まとめ】リスケ交渉はタイミングに注意!
リスケ交渉はタイミングに注意する必要があります。
最適なタイミングを見極めるためには、会社の現状を正確に分析し、資金繰りと利益予測を常におこなって、少しの問題点も見逃さない視点をもたなくてはなりません。
また、リスケが必要な状況になった場合は、問題点を正しく把握して、経営の立て直しを具体的に進めることが重要です。
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