資金調達に強い税理士とはどんなひと?
資金調達に詳しくない税理士にあたると大変
飲食店が新しく店舗を構えるとき、製造業が新たな設備投資を考えるとき、IT企業が多くの人の採用を考えるとき、多額の資金が必要になります。
またキャッシュフローが厳しい時に運転資金の借り入れや、税金を払うために、一時的に借入れをして現預金を減らさないようにするため、資金調達することがあるかもしれません。
いずれも資金調達のタイミングは会社の大事な時に迎えます。
しかし資金調達に詳しくない税理士にあたってしまうと、大変です。
事業拡大を考えているときに、適正なアドバイスを受けられず、本来受けられる資金調達が難しくなったり、決算書が銀行から借り入れしやすいものに仕上がっていない事で運転資金を確保できなくなる可能性もあるからです。
今回は資金調達に強い税理士についてお話ししたいと思います。
そもそもどのような資金調達の方法があるのか?
金融機関からの融資
都市銀行、地方銀行、信用金庫、日本政策金融公庫など様々な金融機関があります。
会社の状況、また事務所を構えている地域によってどこで借りるのがいいかは異なりますが、借入先を間違いないことは大切です。
つまり開業してまだ間もない会社が開業資金を融資してもらう際に、メガバンクと最初から付き合うことは難しいですし、(他行の実績や決算書2期分がないと難しい)少額の融資であれば日本政策金融公庫が適しています。
地域に根ざした会社であれば信用金庫や地方銀行の方が融資を応援してくれるケースもあるので、状況やステージによって、金融機関を見極めることは重要です。
補助金、助成金から資金調達
補助金、助成金は国や地方自治体から無償でもらえる公的資金です。
最近になってITツールを導入する際の補助金や人を雇う際の助成金などが有名ですが、経費の一部を補填してくれるものです。
金融機関からの借り入れと違い、返さなくていい資金調達になります。
補助金、助成金は基本的に成功報酬で税理士と社労士が請け負っているケースが多いです。成功報酬は20%ほどが相場です。
しかし士業によっては助成金に関してあまり得意じゃない方もいますし、顧問以外に手続きをふやしたくないと考える方もいます。
事前に助成金関係の申請ができるか、確認することが必要です。
クラウドファンディングから資金調達
いま流行りのクラウドファンディングで資金調達をする方法もあります。
クラウドファンディングの仲介会社がありますので、そこに登録して応援してくれる人から直接資金を集めます。
なぜ資金調達をする必要があるのか、応援される仕事をしているか、投資する方もきちんと見ています。
資金を借り入れる重要性、共感を得るようなストーリーが必要です。
多くの不特定多数から資金を調達した方がいい場合は、クラウドファンディングからの資金調達が適しています。
個人投資家から資金調達
素晴らしいビジネスモデルがある場合、個人投資家から直接支援してもらうことができるかもしれません。
利率が少ない場合、金融機関は大きな借り入れでないと受け付けない場合がありますが、個人投資家からは少額でも資金調達することができます。
個人投資家はエンジェル投資家と呼ばれていることも多いです。
エンジェル投資家にお金を借りるデメリットとして、よほどビジネスが魅力的でないと振り向いてくれないことも多く、金融機関から融資を受けるのとは違ったリスクが存在します。
投資する側の人柄や条件の交渉ごともあるので、ビジネスパートナーを意識した上で検討することをおすすめします。
なぜ資金調達に詳しくない税理士さんがいるのか?
資金調達の方法はいろいろありますが、その方法をアドバイスいただける税理士は必要です。しかし資金調達に詳しくない税理士がいることも事実です。
それはなぜでしょう。
それは税理士さんが行うメインの仕事は、記帳代行作業であり、会社の決算書を作ることだからです。
これらは一般的に会計と呼ばれているものになります。
会計は過去の取引を整理して検証することです。
反対に未来のお金の検証をする事を財務と言います。
経営者として一番知りたいところは過去の内容もそうですが、未来のお金に関する財務の部分です。
会計の仕事がメインの税理士は圧倒的に財務の部分が欠けているのが、実情です。
その為、どう資金を調達して、回収して、新しい投資に回すのか、未来のお金の話ができない税理士が多いのです。
財務は過去の試算表を見ても判断ができません。
必要なのは、御社の調達力をどれだけ高められるか
資金調達の主な理由は現預金を増やすことだと思います。
現預金が増えれば、リーマンショックなど予期せぬ経済情勢になったとき、会社の体力で何とか持ちこたえることができるからです。
そのため資金を調達する力を高めていかなければなりません。
資金調達の力を高めるためには、付き合う税理士の考え方やスキルによっても、御社の調達力が変わってきますので注意が必要です。
それでは調達力を高めてくれる税理士はどんな税理士でしょうか。
資金調達に詳しい税理士とは?
金融機関から信用される決算書を作れる
金融機関から借り入れを起こすためには、銀行から信用される決算書を作らなければなりません。
黒字を出すために、経費を削る提案をしてくれたり、社長の貸付が増えすぎないようにきちんと決算前に返金をするよう促してくれたり、赤字が出過ぎないよう考えてくれたり一歩踏み込んだアドバイスをいただき、なおかつ見栄えのいい決算書を作る必要があります。
最終的には会社の力量にはなりますが、銀行から信用されるよう助言をいただき、その上で決算書を作ってくれる税理士さんは心強いです。
節税の提案をしすぎない
税理士さんのなかには節税をしすぎる税理士さんもいます。
節税はとても大切なことです。節税を行うことで無駄な税金を減らすことができて、会社にお金を残すことができるからです。
しかし、会社にメリットのある節税対策は【お金を使わない節税】です。
【お金を使う節税】とは決算直前に税金を減らすような買い物をして、経費を一時的に減らすというものです。
無駄な買い物をしてしまっては現預金をいたずらに減らしてしまい、会社の経営が危なくなった時に、体力のなさから一気に経営が傾いてしまいます。
税理士の中にはお金を使いすぎる節税を薦めることがありますので注意が必要です。
税理士が保険商品をすすめすぎるのも問題
また節税の代表的なもので保険があります。
保険は上手に使えば有効なものですが、無駄なものに入ってしまっては意味がありません。
社長の顧問税理士で保険を強く勧めてはいませんか?
実は税理士が保険代理店を行なっているケースがあります。
顧問先に保険の提案を行い保険収入をもらっているからです。
顧問料の低下によって、税理士も他から収入を稼ぐ手立てとして保険代理店の収入を得ています。
つまりあまり保険知識がない税理士がよりキックバックの大きい保険商品を勧めている場合も少なくありません。これは注意が必要です。
一社だけの保険ではなく、きちんと何社も比較してシミュレーションを行ってくれる税理士に頼むべきです。
多くの金融機関とのパイプがある
金融機関のパイプがあることは重要です。
資金調達に詳しい税理士は金融機関のつながりが必ずあるものです。
調達先を1つに絞ってしまうより、金融機関を何行か競わせた方が、交渉ができ、いい取引条件を提案してくれるようになります。
そのためにも税理士が銀行の担当者を知っている、日本政策金融公庫と繋がりがあることは重要です。
【まとめ】資金調達に詳しい税理士を見つけるには?
税理士の中でもスキルがはっきり分かれるのが、資金調達に詳しいかどうかです。
税理士の中では一歩踏み込んだコンサルティングに力を入れている事務所と、記帳代行、決算書の作成など会計の部分に力を入れている事務所があります。
ひとえに税理士事務所といっても様々なカラーがあります。
しかしホームページ上だけでは資金調達の実務経験や金融機関のパイプがあるかなど、見えないことが多いと思います。
あらかじめそのような税理士の存在を知っていることは大切です。
自分で見つけるのが億劫だ、税理士のことは詳しくないという社長様はぜひご相談ください。