【会社の利益の使い道】会社のお金を私的流用することの是非
「利益」は会社を大きくし、社員や事業主とその家族を守る大切な要素です。
そして会社で上がった利益は使い道ひとつで、会社や事業主、従業員の将来を変えてしまいます。
まず根本的なお話ですが、会社のお金は社長個人のお金ではないため、社長が自由に利用して良いものではないです。
しかし社長は法人の代表として、会社の利益をどのように使っていくか方針を決め、責任を持って活用していかなくてはいけません。
▼この記事でわかること!
・会社の利益の使い道とは?
・会社のお金を私的流用する上での問題点
・会社の利益を私的流用する方法
これからも利益を生み出し続けることが会社存続につながり、事業主や従業員を守ることに繋がるからこそ、利益の使い方はしっかりと考えたいものです。
とはいえ社長であれば正直「もっと自分のために利益を還元したい」と考えるのも自然なこと。
今回は、会社の利益の賢い使い道から、社長が会社の利益を私的流用する場合にあげられる問題点、合法的に私的流用する方法まで詳しくご紹介します。
結論をお伝えすると、会社で出た利益はまず会社のために利用することを、優先的に考えるべきです。
とはいえ社長が私的流用をすることも、手段を選べば問題はありません。
なお、どうしても会社の利益を社長個人が利用したい場合には、法律や税金が深く関わる話になります。警察沙汰になることもあるため、必ず税理士に相談をしてからお金の移動をしてくださいね。
会社で出た利益の使い道とは?
会社で出た利益の使い道は、大きく分けると2通りあります。
①会社のために利用する
②代表者個人に移動する
両者にメリットとデメリットがあるため、一概にどちらが良いとは言い切れません。
とはいえ、多くの税理士が「利益は会社のために活用し、代表者の所得を増加させるのはほどほどにする」ことをおすすめする傾向があります。
会社と代表者個人それぞれに利益を利用するメリットとデメリットをお伝えします。
【①会社のために利用する】メリット・デメリット
会社のために会社の利益を利用することのメリットとデメリットからみていきましょう。
▼会社のために利益を使うメリット
・従業員に還元するとモチベーションとパフォーマンスアップにつながる
・研究開発に費用を回すことでサービス向上につながる
・広告費に費やすことで認知度拡大と収益アップにつながる
会社のためにどう利益を使うのかによって、見込める利益は異なります。
とはいえ基本的には、企業の利益拡大のために力になっていくことが多いです。
▼会社のために利益を使うデメリット
・必ずしも収入アップにつながるとは限らない
会社のために利益を費やしたからといって、必ず収益アップに繋がるとは限りません。
使い方を間違えれば純粋な損失になるだけで、「こんなことなら事業主や従業員に還元しておけばよかった…」という結果になることも。
会社のためどのように利益を活用するかどうかも、重要な経営判断のひとつになります。
【②代表者個人に移動する】メリット・デメリット
では、代表者個人に法人の利益を移動するメリットとデメリットも確認していきましょう。
▼代表者個人に利益を移動するメリット
・代表者自身の所得が増えて個人に資産の余裕ができる
代表者個人に利益を移動することのメリットはシンプルに、個人の資産が増えることです。
「社長はお金持ち」というイメージがあるかもしれませんが、会社経営における主な責任を背負っている社長が、多めに報酬を受け取れるというのは、ある意味当然のこと。
法人が経費として代表者に役員報酬を払うことで、法人にとっての節税効果が見込めます。
▼代表者個人に利益を移動するデメリット
・役員報酬や配当金として代表者に移動すると個人に税金がかかる
・役員貸付をすると役員貸付金として決算書に履歴が残り融資に悪影響がある
事業主に対して役員報酬を払った場合、法人は経費として節税効果を期待できます。
しかし事業主個人が支払わなくてはいけない税金や社会保険料は、所得にともなって高くなるのがデメリットです。
一時的に役員貸付をおこなうという手段もありますが、法人の決算書に役員貸付の履歴が残り、今後の融資に悪影響をおよぼす可能性もあります。
会社の利益の使い道|会社のために使う手段とは?
では、会社のために利益を使う場合には、どのような使い道があるでしょうか?
手段はいくつもありますが、主な手段としては下記があげられます。
① 設備投資や社員教育、研究開発などの未来投資
②福利厚生やボーナスなど社員への還元
③使わずにいざというときのため貯蓄(内部留保)
納税や借金の返済が残っている場合には優先事項は異なりますが、上記のような使い道は今後の経営拡大のために有効な選択肢になるでしょう。
会社の利益は私的流用しても良い?基本的にはNGです
そもそも法人と個人では別人格であり、法人のお金を個人が自由に利用できるわけではありません。
特に1人社長をしている人は、法人のお金を自分個人のお金であると混合視してしまいやすいですが、法人と個人ではお金を分けて考える必要があります。
とはいえ実際には、法人のお金を個人が取り出して利用することは可能です。
①事業主の社宅費用にする
②出張日当としてお金を移転する
③生命保険として支払い退職金として受け取る
上記のような方法で会社の利益を個人に移動することで、節税効果も期待しながら合法的に個人へ利益を移すことが可能です。
とはいえやはり、大きな金額を利益として個人に流用するためには、役員報酬として給与での扱いをするしかありません。
会社から利益を個人に移動するなら、ほかの部分でできる節税対策を忘れずにほどこすことを、強くおすすめします。
【まとめ】会社の利益の使い道は税理士と相談しよう!
会社の利益の使い道は主に、会社のために使うか、社長個人のために使うかの2択であるとお伝えしました。
そもそも会社の利益は社長個人のものではないため、社長だけの意思で自由に利用できるものではありませんが、1人社長の場合には自由度は上がるものです。
とはいえ社長が会社の利益を独占すれば、会社の経営が回らなくなるだけでなく、税金面でも負担が大きくなる可能性があります。
会社の利益をどう活用するのが良いかは、税理士に相談して多方面に意識を広げながら検討するのがベストでしょう。
「会社の利益の使い道でベストな選択肢がわからない…」
「どんな割合でいくら分配すれば良いかわからない…」
「知らずに違法行為をして捕まるのは怖いからプロに支えてほしい」
このような不安に寄り添ってくれるのは、税理士だけです。
法人として経営を続けるならいずれにしても、早いタイミングで税務関係や法律に詳しい税理士を顧問として雇うことをおすすめします。
タックスボイスでは、節税の知識を豊富にそなえた税理士を、無料でご紹介が可能です。
個人事業主から法人まで対応できるプロだけを厳選しているので、事業内容や今後の見通しによっても柔軟に協力が可能なのでご安心を。
会社の利益を事業主個人が利用するというのは一見簡単に見えて、とても厳しく取り締まりを受ける部分です。
事業主個人の判断で法人の利益に手をつけてしまうと、最悪の場合には逮捕対象となります。
税理士と二人三脚でしっかりと事業に向き合っていきたい方は、お気軽にタックスボイスへご相談ください。