【会社から個人に変えたい!】会社を休眠させて個人成りをする方法
前回の記事を読んでいない方は以下からどうぞ!↓
今回は「会社を休眠させて個人成りをする方法とその流れについて」お話ししたいと思います。
まず初めに個人成りをする流れについて見ていきます。
個人成りの流れ
1会社を休眠する or 会社を解散(廃業)させる
↓
2個人事業主として事業を開始する
こちらが主な2つの流れになります。
「会社を休眠させて、個人事業主をスタートさせる方法」と「会社を解散させて個人事業主をスタートさせる方法」の2通りがありますが、今回は前者に焦点を当てたいと思います。
会社の休眠と解散(廃業)はどう違うのか?
会社を休眠させることと解散させることに違いはあるのでしょうか。
まず会社の休眠は、事業活動をストップさせて、一旦会社を【眠らせる状態】にすることをいいます。
もちろん眠らせているだけなので、法人自体は残ります。休眠に際して、登記をする必要はありません。
会社の解散は、会社自体を消滅させることで、法人自体がなくなることを意味します。
当然、「会社を無くしました」という旨の登記をする必要があります。(会社の解散登記)
解散登記をし、全ての精算手続きを行い、精算手続きが完了すれば、会社を解散させたことになります。
どちらがいいかは、事業主の気持ちもしくは、コスト面、将来性にもよりますが、
「もう一度法人で事業をする可能性がある」
「もっとシンプルに個人に戻りたい」
「コストをなるべくかけたくない」
と感じる方は、解散より休眠させて、個人成りをするのがベストです。
会社を休眠させる方法
会社を一旦眠らせている状態の為、会社自体は残りますが、存続しているので、税務処理など、必要な処置をする必要はあります。
休眠させるために何をすればいいか?
必要に応じて以下の3つの届け出をする必要があります。
①都税や県税事務所、市町村、税務署に【異動届出書】を提出します。
※異動届出書というのは、「休眠をしてる旨を知らせる書類」です。
②給与支払事務所の開設・移転・廃止届出書の提出をします。(従業員がいた場合)
③健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届(社会保険に加入していた場合)
①②③を合わせて「休業届け」といいます。
これらを提出したら、会社は休眠状態に入ります。
それほど複雑ではなく、簡単な書類のため、よくわからない素人でも十分書くことができます。窓口でも教えてもらえるため、安心です。
休眠していても必要なことはあるか?
休眠していても必要なことは以下の2つになります。
●休眠しても税務申告をする
●休眠しても役員変更の登記をする
それぞれ見ていきましょう。
休眠しても税務申告をする
休眠しても会社は残るので、税務申告をする必要はあります。
税務申告をやらなかった場合は、青色申告自体が取り消されてしまいます。
青色申告が取り消されたら、繰越欠損を使えなくなり、黒字と相殺することができなくなります。
例えば、もう一度会社を復活させて、初年度黒字になった場合、繰越欠損があれば、過去の赤字分を黒字と相殺できます。
特に赤字分が多い会社、これから法人を復活させる予定の方は消滅させるのはもったいないので、申告を毎年しましょう。
決算のみでも税理士と付き合っておくことをお勧めします。
税金について言えば、都道府県と市町村へは均等割税額を支払う必要があります。
ただし、市町村によっては、均等割の半額を免除してくれたり、全く課税されない地域もあります。
反対に、休眠状態であっても、毎年課税される自治体もあるので、一度確認してみてください。
【均等割税額とは?】 会社が赤字でも支払わなければならない税金のこと
休眠しても役員変更の登記をする
株式会社は【10年一度】役員の変更の登記をすることが会社法で決められています。
登記の変更を12年間行なっていなければ、法務局はみずから、解散の登記をおこないます。
それを「みなし解散」といいます。
全く登記の変更を行っていなければ、数年に1度法務局で「整理」をされてしまうのです。
みなし解散の登記をされたあと、3年が経過したら、会社を継続する登記ができなくなります。
個人事業主として開業するときの手続きは?
会社を休眠させた後、個人事業主として開業する手続きを行います。
個人事業主開設の届け出一覧
- 個人事業の開業届出・廃業届出
- 所得税の青色申告承認申請
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出
こちらの記事にも詳しく書いていますので、ご参考ください!↓
また屋号を新しくする必要があります。当然、株式会社や有限会社などの名称は使えません。代表取締役の肩書きも無くなります。
個人成りをした事でもう一度確認したいもの!
●銀行口座を個人用に新たに開設(法人用は廃止)
●車両や固定資産などを個人で買い取る必要も
●国民健康保険、国民年金への切り替え など
当然法人で行なっていた全てのものを個人に引き継ぐ必要がありますし、新たに届け出をすることもあります。
法人から個人成りをする事は面倒なことも多いと思いますので、税理士や司法書士などの専門家と相談しながら、速やかに決めていくことがベストです。
個人事業主に戻った場合、税理士費用も安くできる!
会社規模の大小に関わらず、法人は個人に比べて顧問料が高くなります。
税理士に法人顧問を頼んでいた時は、年間50万くらいかかっていたのに、個人成りをして個人の顧問契約を頼んだら、30万以下になった。というのは多くあります。
そのまま個人事業主になったとしても、今お付き合いのある税理士さんを継続する人もいるでしょう。
しかし年間20万近い料金が下がってしまえば、今の税理士がモチベーションを下げてしまうことも考えられます。
下がったモチベーションはサービスに反映されてしまうこともあります。
その場合は、一つの区切りとして、新しい税理士と付き合うことをおすすめします。