人材派遣業に強い税理士とは?【税理士選びのコツ】
様々な働き方が混在する現代、正社員として働くだけでなく、派遣会社に属して働くなど、雇用の形式は選択肢が幅広くなりました。
今回はそんな派遣をする側である、人材派遣業において、どのような税務が必要となり、どのような税理士に税務の依頼をすべきか?という内容について詳しく紹介していきます。
人材派遣業の経費は何がかかるのか?
小売業などと違い、人材派遣業の「仕入れ」とは「人件費」となります。
人材を確保して、クライアントに派遣することで、売り上げをあげます。
その【人材に発生する人件費】こそがクライアントと取引する際に発生する仕入れ費となるのです。
ただし、この人件費にも2つの種類があります。
雇用の形態によって計上方法が異なることが、人材派遣業における経費の最大の特徴ともいえます。
派遣会社の本社で働くスタッフ
派遣される人材ではなく、【人材派遣会社で派遣する側として働くスタッフ】については「販売費一般管理費」として計上されます。
派遣されるスタッフ
対して、クライアントへと派遣されて働く派遣スタッフは「売上原価」として計上されます。
同じ人件費に分類されますが、それぞれ雇用形態によって扱いが全く異なるため注意が必要です。
他の業種ではあまり見られない特徴的な分類であるため、特に人材派遣業に強い税理士はこのような点などは、当たり前に把握している方がスムーズです。
また人材派遣業を開始する際に国から許認可を得なければならないのも、人材派遣業の特徴といえます。
派遣業の許認可基準を理解した税理士のサポートが必要になります。
人材派遣業は、資金繰りに計画性が必要な業種
人材派遣業が利益を出すためには、即日というわけにはいきません。
人材を派遣し、一定期間が経過してから料金をクライアントから回収するのが一般的な流れとなっています。
料金を回収するまで、一定期間が必要となるため、他の業種と比べて、より詳しい財務管理が求められる業種と言えるのです。
具体的には、人材を派遣してから1か月後や、一定の派遣期間がある場合は、業務が完了した後といった条件を満たすまで、料金が回収できないということです。
料金を回収する前であっても、オフィスにかかる費用や通信費、また人材を確保するための広告費や、通常通りに発生する給料など、支出は待ってくれません。
料金の回収前に資金繰りを誤れば、給料が出せなくなるなどのリスクが伴います。
そのため他の業種と比べて、具体的かつ、多方面からの総合的な資金繰り判断が求められるというわけです。
予想していなかった支出がひとつ発生するだけで倒産のリスクさえあるため、注意が必要となります。
派遣スタッフを集めるには経費も多くかかる!
人材派遣業は、派遣会社の本社に勤務して労働してもらう本社スタッフ以外、派遣スタッフは人材派遣をする本社ではない場所での労働となります。
しかし、最初には登録会など、派遣スタッフも一度は本社に足を運ぶ必要がある場合がほとんどです。
※中にはネットだけで登録が完了する場合もありますが、登録会など直接の面談が必要となる派遣会社がほとんどです。
そのため原価となる「派遣スタッフの確保」が何より重要となります。
登録会を開催しても、駅から遠かったりバスなど公共交通機関が通っていないなど、本社の立地によっては、そもそも派遣スタッフが集まらないなどの問題が発生する可能性があります。
そうした人材派遣業なのに、派遣する人材がいないといったトラブルを防ぐためにも、なるべく立地の良いオフィスを確保することが求められます。
しかし立地の良いオフィスは、それだけ費用も発生します。
こうした固定費用についても、事業計画しなければすぐに経営難に陥るリスクがあるということです。
ある程度、派遣スタッフが確保できれば、あとは回収までの時間を上手く運営できれば、事業を拡大していくことも可能となります。
税金やお金の流れについて把握することが大切ですが、人材派遣の業務をしながら税務まで着手するのはなかなか困難です。
そこで、人材派遣業に詳しい専門の税理士が必要となります。
人材派遣業に強い税理士とは?
前にお話した通り、人材派遣業は「派遣スタッフの確保」と「料金回収までの具体的な事業計画」が必要不可欠な業種です。
資金繰りを慎重に行っていくことが、経営の安定につながり、派遣されているスタッフの安心にもつながり、人材の長期的な確保にも影響してきます。
逆に計画的な資金繰りができなければ、派遣スタッフも不安になって、人材が辞めていってしまう可能性も多くあります。
原価として扱われる派遣スタッフが、どんどん辞めていくということは、根本的な営業ができなくなるという最悪の事態を招きかねません。
再度人材を確保するために広告費を消費するなど、新たな経費が発生するといったリスクが考えられます。
事業に集中して、「人材派遣に特化した業務」だけを行い、資金繰りや税務については、人材派遣業について知識の豊富な税理士に依頼することが必要となります。
人材派遣業は、派遣するスタッフの確保とクライアントからの料金回収までの時差が最大の問題点なのです。
開業前から税理士と付き合うのはメリットが大きい!
開業前から人材派遣業に詳しい税理士とお付き合いしておけば、国からの許認可を取得するなどの申請が漏れる心配もありません。
経営スタート前からアドバイスを受けることができるなど、開業当初の悩みやトラブルを防ぐことができます。
最初の時点では派遣スタッフも少なく、自分たちだけで運営できるような気がするかもしれません。
しかし最初の時点でやっておくべきだった注意点や、具体的な見通しを持った計画の立案といった税理士ならではの視点で、的確なアドバイスを得ることは重要です。
最初の数か月間は、料金の回収まで時間もかかる上、回収できる料金も最初から大きなものではない場合が多いため、この最初の時点での経営が最も難しく苦しい期間であることが多くあると思います。
そうした人材派遣業を多く見てきた経験豊富な税理士なら、最初の悩みも苦しみも理解し、的確なアドバイスをしてくれます。
最初さえ乗り切ってしまえば、無茶な資金繰りさえしなければあとは事業の拡大も狙えます。
事業の安定は、派遣スタッフの安心と継続に繋がるので、最初の苦労だけをなんとか乗り越えられるように慎重に計画することが何よりも重要です。
【まとめ】特殊な業界だからこそ、専門的な税理士の存在が必要!
人材派遣業は、料金回収まで時間がかかるだけでなく、本社スタッフと派遣スタッフで計上方法が異なるなど税務上でも他の業種とは違う特殊な業種です。
そのため把握しなければならない、決まりなども多くありますが、その多くは人材派遣業ならではのルールだったりします。
そのため、税理士なら誰に依頼してもいいというわけではありません。
基本的な税務はもちろん誰でもいいのかもしれません。
しかし人材派遣業という将来を見通した計画的な事業展開が必要となる業種ならではのアドバイスや、計画の相談は専門性の高い税理士に依頼したほうがいいのです。
税務やお金に関わる問題は、すべて税理士に任せ、人材派遣の業務にだけ集中する姿勢が最も望ましいと言えます。
経営における悩み事なども全て相談できる、人材派遣業に詳しい税理士と開業前からお付き合いしておくことは、とても心強い存在となります。